独断的JAZZ批評 703.

DJANGO BATES
1曲偏重
"BELOVED BIRD"
DJANGO BATES(p), PETER ELDH(b), PETER BRUUN(ds),
2008年9月 スタジオ録音 (AVATAR MUSIC : LM004)


あるサイトで掲載されていたアルバム。勿論、僕はこのDJANGO BATESを初めて聴く。
DJANGO BATESは1960年のイギリス生まれ。現在はコペンハーゲンに居を構えているらしい。この世界では知る人ぞ知るプレイヤーの一人ということだが、生憎、僕は知らなかった。ピアノのほかにキーボード、テナーサックスまでこなすという。
全く知らないこのアルバムを購入した理由はと言えば、PETTER ELDH(b)が名を連ねていたからだ。PETTERといえば、今、ヨーロッパ(もしかすると、世界)でもっとも引っ張り凧のベーシストの一人(JAZZ批評 609. & 585.)と言えるだろう。
強靭なビート、抜群のテクニックと比類なきイマジネーションを持ったプレイヤーだ。未だ、28歳。NEILS-HENNING ORSTED PEDERSEN(JAZZ批評 49. & 292.)の再来と言っても過言ではないだろう。
ドラムスのPETER BRUUNについては全く不明だ。少なくとも、僕は初めて聞く名前だ。

@"SCRAPPLE FROM THE APPLE" 何とも不思議な出だし。アブストラクト的でもあるし、コミカルでもある。独特の音世界。コロコロと転がるピアノの音色は粒立ちが良い。 
A"HOT HOUSE" 
似たような曲想、演奏スタイル。
B",PUNCTUAT-I'ON;" 
曲というより、次への繋ぎ。
C"STAR EYES" 
連続して曲に入る。
D"MY LITTLE SUEDE SHOES" 
E"LAURA" 
F"CHI CHI" 
G"NOW'S THE TIME" 
高速4ビート。ドラムスがバタバタとあれやこれややり過ぎて噛み合っていない感じ。
H"PLASTICITY" 
I"MOOSE THE MOOCHE" 
J"BILLIE'S BOUNCE" 
一筋縄にはいかない。崩しに崩してあるが崩れっぱなしという感じかなあ。
K"AH-LEU-CHA"
 こういう"AH-LUE-CHA"があったとは!MILES DAVISの"'ROUND ABOUT MIDNIGHT"(JAZZ批評 149.)の中にあるそれとは180度違う。クールであり静謐である。このアルバムのトータル・タイム55分のうち20分近くをこの1曲が占めている。まさに、1曲偏重。ということは、残る11曲をわずか35分で演奏しているということ。従い、他のどの曲も演奏時間が短い。

注目のELDHの演奏はどうかというと、クエスチョンマークが付いてしまう。どちらかというと正統派のELDHにとってこのピアニストとの相性はイマイチという印象を免れない。やはり、MAGNUS HJORTH(JAZZ批評 537. & 609. )の方がピタリと嵌るし、そこでのELDHの凄さを知っているだけに辛口評価となってしまう。
アルバム・タイトルからすると"BIRD"、すなわち、CHARLIE PARKERに捧げたトリビュート・アルバムなのであろう。実に、個性的なアルバム。先ずはそういう印象を強くするし、一筋縄には行かないしたたかさが感じられる。その分、聴く人を選ぶかも知れない。僕は入手以来4ヶ月近く聴いているが、やはり受け入れられなかった。   (2011.07.05)

試聴サイト : http://www.bbc.co.uk/music/reviews/8jd3
         


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