独断的JAZZ批評 702.

JACOB KARLZON
リスナーにもプレイヤーの満足感を共有できるアルバム
"THE BIG PICTURE"
JACOB KARLZON(p, rhodes, organ, keyboards, programming), HANS ANDERSSON(b), JONAS HOLGERSSON(ds, percussion)
2011年3月 リリース (STUNT RECORDS : STUCD 11032)


JACOB KARLZONのアルバムは10年も前に録音された"TODAY"(JAZZ批評 276.)を紹介しているが、決して良い評価とは言えなかった。それから、10年。今回のアルバムの様変わりにちょっとビックリした。非常にストレートな表現方法に好感が持てる。自分のやりたかったことを全て具現化して見せた・・・そういう感じ。KARLZONが手にした楽器の種類を見てもそういう姿勢が表れている。
僕は試聴サイトに記したURLのプロモーション・ビデオを聴いて、即、購入したいと思ったのだが、日本ではなかなか入手が難しそうだった。で、海外の中古盤をゲットしたのであるが、届いたCDは全くの新品だった。価格も安かったし、注文から3週間弱でゲットできた。ただし、ボーナス(コンピレーション)CDは付いていない。しかし、世の中、本当に便利になったものだ。

@"THE BIG PICTURE" 先ず、イントロがいいね。続く、ピアノとベースのユニゾンで奏でるテーマがいい。このアルバムの素性のよさが象徴的に表れている演奏。後半にかけてうねりの様に高揚感が増していく。
A"BAKERSFIELD REVISITED" 
続いて、重低音を効かせた8ビート。ガツンと来るなあ。
B"MANIAC" 
哀愁を帯びたメロディ。リリカルな中に一本芯が通った演奏。徐々に高揚感を増していくその様がいい。
C"ON THE HORIZON" 
しっとり系のバラード。透明感が地平のかなたまで広がるような感じ。そして、美しい。
D"IN GOD'S COUNTRY" 
軽快にして心地よいスイング感に満ちている。四の五の言わず、この心地よいノリに便乗しようではないか!
E"NEWBIE" 
リズミックなドラミングに乗ってピアノが踊り、ベースが跳ねる。
F"MA SALAMA" 
幻想的な曲。背景に流れるヴォイスらしき音色が幻想的なムードを殊更に強調する。
G"UTOPIAN FOLKSONG" 
H"AT THE END OF THE DAY"
 最後を締めるピアノ・ソロ。

STUNTというレコード会社は、プレイヤーに思う存分に好きなことをやらせるレコード会社と理解している。CARSTEN DAHLの"MOON WATER"(JAZZ批評 246.)しかり、STEFANO BOLLANIの"GLEDA"(JAZZ批評 264.)しかり、KASPER VILLAUMEの"117 DITMAS AVENUE"(JAZZ批評 243.)しかり。MAGNUS HJORTHの"OLD NEW BORROWED BLUE"(JAZZ批評 555.)もそうだ。このレコード会社を経て、一流の仲間入りしたプレイヤーは枚挙に遑がない。
このKARLZONも思いの丈を存分に表現できたのではないだろうか?3者のバランスも良いし、とても刺激的で楽しめるアルバムに仕上がった。リスナーにもプレイヤーの満足感を共有できるアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2011.06.29)


試聴サイト : http://www.jacobkarlzon.com/node/55




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