KENNY BARRON
どちらか1枚は持っていたいBARRON のライヴ・アルバム
"LIVE AT BRADLEY'S U THE PERFECT SET"
KENNY BARRON(p), RAY DRUMMOND(b), BEN RILEY(ds)
1996年4月 ライヴ録音 (GITANES JAZZ PRODUCTIONS 983 112 4)

このアルバムはタイトルにもあるようにBRADLEY'Sでのライヴ録音の2枚目である。1枚目(JAZZ批評 22.)はこの録音に遡ること3日前の4月3日と4日の録音である。メンバーも同じ。安心して聴けるリラックスしたライヴ・アルバムだ。本当にジャズ・ライヴの楽しい雰囲気が伝わってくるナイス・アルバムだ。「軽妙洒脱、燻し銀」のBARRONの演奏が堪能できるのは言うまでもない。
BARRONと言えば、もう説明の必要がないくらいのピアノの達人。今や、アメリカのジャズを代表する大御所と言ってもいいかも知れない。
サイドメンの二人は今回もピアノを引き立たせる演奏に徹しているし、快いスイング感を演出している。RAY DRUMMONDは温かみのあるベースを弾くし、この人がいると雰囲気が和む。ビートが強いというタイプではないが、増幅器を上手く使いこなしている。共演はHOD O'BRIEN(JAZZ批評 260.)やJESSICA WILLIAMS(JAZZ批評 220.)、BILL MAYS(JAZZ批評 259.)など数え上げれば切りがない。ジャズ・ハウスのライヴにうってつけのベーシストだ。ドラムスのBEN RILEYも同様にピアノを引き立たせるタイプ。

@"HOUSE INTRODUCTIONS" 
メンバー紹介。
A"YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS" 
スタンダードの名曲はピアノのフリー・テンポのソロで始まる。テーマの1コーラスが終わるとベースとドラムスが絡み付いてきて快い4ビート演奏になる。気付かぬうちに脚が4ビートを刻んでいる。勿論、指も鳴っているのだ。
B"THE ONLY ONE" 
BARRONのオリジナル。快いミディアム・テンポの4ビートに乗って、ピアノが歌う。BARRON節とも言うべき聴きなれたフレーズが飛び出してくる。

C"TWILIGHT SONG" 
CHARLIE HADENとのデュオ・アルバム"NIGHT & THE CITY"(JAZZ批評 16.)の1曲目に演奏されている都会的雰囲気のボサノバ調の曲。「お洒落だ!」 ウィスキーの氷をカチカチ鳴らしながら、タバコの煙に目を細めながら耳を傾けたくなる1曲。

D"SHUFFLE BOIL" 
ピアノ・ソロ。ひょうきんさとユーモアを交えた演奏。
E"WELL YOU NEEDN'T" 
T.MONKの曲。14分の長尺。この曲を含めてDのピアノ・ソロを除く全ての演奏が10分以上の長尺もの。そこはBARRONのこと、飽きさせるような演奏はしていない。長めのベース・ソロとドラムスの8小節交換を挟んでテーマに戻る。

"T"でも"U"でも良いから、どちらか1枚は持っていたいBARRON のライヴ・アルバムだ。ライヴの楽しさとか雰囲気が味わえる。そして、極上な大人の時間が満喫できる筈。
"T"でも"U"でも大差はないが、僕なら"T"を選ぶ。多少であるけど演奏がより「活き活き」している。  (2005.10.22)



.

独断的JAZZ批評 302.