CHARLIE HADEN & KENNY BARRON "NIGHT & THE CITY"
CHARLIE HADEN(b),KENNY BARRON(p) 1996年9月録音

ピアノのケニー・バロンは、僕にとっては今回初めてじっくり聴くピアニスト。
ベースのチャーリー・ヘイデンはパット・メセニーとの共演でも聴ける、実にオーソドックスで堅実なベーシスト。奇をてらわず、黙々と裏方に徹するプレイヤー。そうした一貫した姿勢が全編に貫かれている。

山下洋輔の爆裂的、過激なピアノを聴いた後にこれを聴くと一服の清涼剤のようなさわやかさがある。
「ほっ」とするんだなあ。

JAZZ批評の6.で書いた"MISSOURI SKY"が牧歌的な田園風景とすれば、こちらは大都会のくつろいだ夜というイメージ。ギターのパット・メセニーがピアノのケニー・バロンに交代し、好対照の印象を与えている。
録音は同じ1996年。チャーリー・ヘイデンがメセニーに声をかけて"MISSOURI SKY"を録音し、半年後に今度はケニー・バロンとこのCDを録音したことになる。

ケニー・バロンのピアノは音もアドリブも美しい。淡々とした味わいの中に人生を感じさせる奥行きがある。
もう1枚聴いてみたいと思わせる渋い演奏だ。
今、流行のエディ・ヒギンスのように「媚」たところがなくて、僕は好きだ。

特にバロンの作曲になる1曲目"TWILIGHT SONG"は、先ず、曲が良い。その上にのるバロンのピアノは洗練された都会の雰囲気を醸し出しながらブルージーな味わいをみせる。
この1曲だけでも価値がある。

ベースのヘイデンは不思議と、共演者を素直な子供のような気持ちにさせるみたいだ。
派手さや向こう受けを狙ったものが全くない。まさに虚心坦懐の1枚と言える。
"MISSOURI SKY"で演奏された同じ曲"WALTZ FOR RUTH"がここでも演奏されている。聞き比べてみるのも一興だ。                             (2001.08.05)


<2013.12.26追記>
演奏曲目を追記しておこう。
@"TWILIGHT SONG" 
A"FOR HEAVEN'S SAKE" 
B"SPRING IS HERE" 
C"BODY AND SOUL" 
D"YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS" 
E"WALTZ FOR RUTH" 
F"THE VERY THOUGHT OF YOU"
 



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KENNY BARRON
しっとりとワインでも飲みながら・・・・。
洗練された都会の夜をイメージさせる
ピアノとベースのデュオ。

独断的JAZZ批評 16.