『しあわせの雨傘』(Potiche)
監督 フランソワ・オゾン


ヤマのMixi日記 2011年05月31日00:07

 マイレージ、マイライフ小さな命が呼ぶときに続き、高知新聞紙上での作品紹介を依頼されてのDVD鑑賞。先日も、mixi日記に「トリアー:好き&面白い、ハネケ:嫌い&面白い、オゾン:嫌い&面白くない」などと書いたばかりなのに、この作品は面白かったぞ(あは)。

 8人の女たちスイミング・プールを観て、その悪趣味と小賢しさがどうにも気に入らなかったのに、ドヌーヴの貫禄かなぁ。終始、なんかニヤニヤしながら観ていた。さあて、どないに紹介しよ。

 最初と最後で、赤と青にジャージの色が入れ替わるスザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)の変化が、社長業で夫よりも才覚を発揮して得た自信以上に、実は昔の性遍歴の話で、夫ロベール(ファブリス・ルキーニ)も昔馴染のババン市長(ジェラール・ドパルデュー)も手玉に取って、醜態を晒す自失に至らせたことにあるらしいことを暗示していたかのような、オープニングの兎の交尾のショットこそが鍵を握っている映画だってな紹介は、やっぱりドヌーヴ世代の御婦人方が客層の中心となっている市民映画会の作品紹介には相応しくないんだろうなぁ(苦笑)。

 しかし、この軽妙さと色遣いの鮮やかさには、ちょっとヤラレたね(感心)。


*コメント

2011年05月31日 11:06
(TAOさん)
いいでしょー。私もこれがオゾンでは一番好きです。ドヌーブ様がもう太陽のように神々しくてひれふしちゃいました(笑)。高橋英樹がひたすら輝いていた、鈴木清順の「刺青一代」みたいなものでしょうか(笑)。


2011年05月31日 18:21
ヤマ(管理人)
おぉ〜、まさしくTAOさんとこでも、“ウサギの営みが全ての伏線”との談義が交わされてたんですね! ほんとに「予告編からは想像もつかない怒濤の展開」でした。

んで、僕は、スザンヌが夫や昔馴染に語る打ち明け話のどこまでが事実で、何が真実だと受け止めるかによって、見る側の女性観や人間観が窺えるようなところのある作品だと思ったのですが、TAOさんは、そこのところ、どうご覧になりましたか? あの息子の父親は誰だと思われます? スザンヌが言ったとおり、公証人(だっけ?)なのか、本当はババン市長なのか、それとも実は夫のロベールなのか。


2011年06月01日 06:54
(TAOさん)
「あら、あなたじゃないわよ。公証人かも。あ、テニスのコーチかもね♪」ってあっけらかんと言うんですよね(笑)。

まあ十中八九、ババン市長でしょう。公証人とテニスのコーチは当て馬という感じ。実は夫の子かもしれなくて、スザンヌもどちらかわからない可能性はありますね。いずれにせよ、夫の子でないかもしれない子供を黙って育てたことが、”Potiche”としての彼女が懐にこっそり忍ばせていた懐剣なのね、と思いましたよ。


2011年06月01日 20:09
ヤマ(管理人)
お、僕もババン市長だと思ってます。

公証人は当て馬というのも同じですね。彼はスザンヌのタイプじゃないですよ。彼女は、やっぱチャタレイ夫人系で、メラーズ風の男に惹かれるんでしょうな。若かりし頃の労働者ババンとか、ヒッチハイクで停まってくれたトラックの運ちゃんとか(笑)。

で、僕はロベールの息子の線はないと思ってます。夫が近親婚の可能性に狼狽しているときに、全く動じないでいられたのは、それ故だろうと思いますから。だもんで、十中八九どころか僕的には十中十です(笑)。密かにロケットに彼の写真を忍ばせていたのも、それ故かと。

で、そんなふうに想いを残し続けていたババンに対して、スザンヌが冷水を浴びせかけ、ババンから娘婿の合理化プランを使った腹いせ攻撃を食らうことになるような応対をしたのは、何ゆえだとTAOさんは御覧になってますか?


2011年06月01日 22:01
(TAOさん)
夫が近親婚の可能性に狼狽しているときに、全く動じないでいられたのは、それ故だろうと思いますから。

あ、そのエピソード、忘れてました! じゃあ十中十ですよ。

ババンに対しても冷水を浴びせかけたのは、やっぱりババンも、夫と同じで、女をお飾りとしか見ない男だということがわかったからでしょう。もっとも、そういうことは、パートナーを代えれば解決する問題ではなくて、社会の制度や常識がそういうふうになってるんだと悟ったからこそ、じゃあ私が社会を変えるわ!とあの展開になるわけですが。


2011年06月02日 02:18
ヤマ(管理人)
そ〜か、やっぱフェミ映画だからってことになりますか(笑)。僕は、ババンがロベールと同じ馬脚を現すのは冷水を浴びせかけられた後だったと思うので、スザンヌがババンに真実を告げなかった理由は、他にあると感じました。

つまり、娘のジョエルが投げ出そうとしていた家庭というものをスザンヌはあの時点では決して壊したくなかったのだろうと思いました。のぼせ上がっているババンに確証まで与えたら厄介なことになるので、それを避けようとしたのだけれど、そうしたら、今度は反対向けに逆上されて、いずれにしても、男というものは実にたわいないのでありました(苦笑)。


2011年06月02日 09:48
(TAOさん)
娘のジョエルが投げ出そうとしていた家庭というものをスザンヌはあの時点では決して壊したくなかったのだろうと思いました。

ああ、そうかもしれません。そもそも壊すつもりなら、妊娠した時点で壊してますよね。

のぼせ上がっているババンに確証まで与えたら厄介なことになるので、それを避けようとしたのだけれど、

はい、そのとおりですねー。だから、スザンヌは、初めからババンに気を許してないんです。ババンの写真を持っていたのも、乙女チックな夢に浸るためであって、現実に結婚したいなんて思ったことはないのでは。

彼女のように誰よりもコンサバで慎重で女性らしい人が、いったん目覚めてしまうとラディカルになるわけですが、女性性を否定して男のような言動を行うのではなく、あくまでエレガントさを崩さないところが従来のフェミ映画とは違うところですね。


2011年06月02日 19:26
ヤマ(管理人)
そ〜か、初めから気を許してないのか、厳しいですね(苦笑)。

僕は、夫の救出を頼みに行ったことからしても、実は、けっこう頼りにしてたんじゃないかと思いました。だからこそ、息子の件での舞い上がりように不安が増しちゃって、これはとてもじゃないけど、本当のことは言えないって気になったのではないかと見てますね(あは)。

でも、ババンの写真を持っていたのが乙女チックな夢に浸るためってのは、同感ですねぇ。なにせ手帳に詩を書き付ける乙女なんだし(ふふ)。ババンとのことは、夢であり想い出だからいいのであって、現実問題としての結婚は考えなかったでしょうね。

コンサバからラディカルへの反動っていうのも、なんかいかにも女性的な感じで、同感同感(笑)。そして僕は、彼女の目覚めが、一介の労働者から市長にまで成り上がった実力者ババンと、とことん男権を振りかざしていた夫ロベールを、ものの見事に手玉にとった“快感”に由来しているところに妙に説得力を感じちゃいました。

この“快感原理”ってのも、とっても女性的ですよねー。遠い日の『セーラー服と機関銃』を今、思い出したりしてます(笑)。「カ・イ・カ・ン!」って(あは)。


2011年06月03日 10:47
(TAOさん)
僕は、夫の救出を頼みに行ったことからしても、実は、けっこう頼りにしてたんじゃないかと思いました。

頼りにしていたのは、ババンの持つ権力と、そんなババンを今でも動かせる自分の力ではないかと…(笑)。そういうことに関して、女は怖ろしく正確に値踏みできるんですよ。

快感原理、わかります〜。体力では男にかなわないからこそ、力を行使できることに快感を感じるようにできてるんでしょうね。だから、女は恋愛というフィールドが大好きなんですよ。主婦の憂鬱は、恋愛におけるアドバンテージがなくなってしまうことから来るのかも。


2011年06月03日 17:39
ヤマ(管理人)
頼りにされたのは、労働者出身者としての「力量」じゃなくて、あくまでも、市長としての「権力」ですか(苦笑)。ババンも形無しだなぁ。

でも、労働争議の調停は市長権限ではなく、不当監禁への取り締まりは警察権限なのですが、ババン市長は、権力者として調整に臨んだんでしょうかね。

まぁ、個人の力量にしろ職の権力にしろ、力に対する女性の値踏みの確かさって、侮れないところがあるようには思いますね。

でもって女性は、値踏みだけでなく、体力でも男を凌駕していると僕は思ってますよ。そもそも、長生きするのは女性だし(笑)。男が勝っているのは、わずかに腕力と瞬発力だけで、あとは肉体的な面で女性に勝るものは、見映えも含め、何一つないですよ(たは)。もちろん快感も含めてね(笑)。



クーちゃんとの往復書簡編集採録 2011年6月4日 21:12:17

ヤマ(管理人)
 『しあわせの雨傘』もうご覧になりましたか??

(クーちゃん)
 何だかんだでバタバタして、結局、昨日の深夜に見ました。

ヤマ(管理人)
 先のマイレージ、マイライフが裸ネクタイなら、本作は、オープニングの兎の交尾のショットが鍵を握っている映画だったでしょ(笑)。つまり、スザンヌの語る性遍歴のどこまでが本当の話で、あの息子の実の父親が誰かってことなんですが、クーちゃんは、どのようにご覧になりましたか?

(クーちゃん)
 本当の父親、ねえ。たとえどんなに男が偉そうにしていても、根っこのところで真実の鍵を握っているのは女性=ママンなんだよ、みたいなメッセージを読み取ったのですが。

ヤマ(管理人)
 同感です。女性には敵いません(笑)。

(クーちゃん)
 リベラルな考え方であるはずのババンでさえ、湖のほとりに女を1人で置き去りにするような器の小さい男に仕立てちゃうあたりも含めて。

ヤマ(管理人)
 話ひとつで手玉に取れるのだから、男ってたわいないですよね(苦笑)。

(クーちゃん)
 ドヌーヴの美しさ、貫禄、ちゃめっ気。どれをとってもすごいですね。堂々としていて、美しくて、エレガントで…すてきです。

ヤマ(管理人)
 本当に! 惚れ惚れしちゃいますね。

(クーちゃん)
 1977年代に設定されていますが、似たような状況は現在でも数多く存在するんじゃないでしょうかね。

ヤマ(管理人)
 作り手もそう思っているからこそ、いま映画化しているんでしょうね。

(クーちゃん)
 共感したり、はらはらしたり、忙しかったです。

ヤマ(管理人)
 僕は、ついついニヤニヤしながら観てました。
 さて、父親の件ですが、僕はババン市長だと受け止めています。じゃあ、なぜスザンヌはあのとき偽り、ババンを怒らせたのかも含め、父親は彼だと僕が見た理由などについて、mixi日記で談義しています。

(クーちゃん)
 わたしもババンが父親だと思います。

ヤマ(管理人)
 やはりそうですか。彼女の奔放さをどこまで真に受けるかによって違ってきますよね。

(クーちゃん)
 秘すが花=明かさないところが大人の対応でもあるだろうし、今まで温存してきた最後の切り札をそうやすやすと渡しませんわよ、みたいな思いもちょっと感じます。ババンのあの小ささを思うとやっぱり言わなくて正解だったな…と思いました。

ヤマ(管理人)
 同感ですね(笑)。

(クーちゃん)
 男ってかわいいという見方も、もちろんしています。

ヤマ(管理人)
 まぁ、女性がそのように見てくれなくなったら、男は立つ瀬もありませんし、女性にとってもつまんないでしょうしね(あは)。
 mixi日記での談義については、『マイレージ、マイライフ』と同様、いずれ編集採録してサイトアップし、ご案内しますので、その節に是非ご覧くださいね。もし、mixiに登録をしておいででしたら、こちらをご覧ください。ただし、公開範囲を友人までにしてあるので、マイミク申請をしていただかないと覗けませんが。



推薦テクスト:「TAOさんmixi」より
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1656346174&owner_id=3700229
推薦テクスト:夫馬信一ネット映画館「DAY FOR NIGHT」より
http://dfn2011tyo.soragoto.net/dfn2005/Review/2011/kn2011_01.htm#04
編集採録 by ヤマ

'11. 5.30. DVD鑑賞



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