NPO法人バードリサーチの神山和夫氏から、相談をいただいたことをきっかけに、ツバメの人工巣を作成しました。
ツバメの人工巣は、何らかの問題があってツバメが作った巣を移動させなくてはならない時や、ツバメが巣を作ろうとしているけれど壁がつるつるで泥が落ちてしまうような時に、この人工巣を設置してツバメを誘致することができないかと、ツバメと人の共存を願って生まれました。

2016年にNPO法人バードリサーチによって設置された人工巣 →

埼玉県にある道の駅「アグリパークあしがくぼ」では、ツルツルした
梁にいつも巣を作ろうとしますが、そこは泥が付きづらいため、横に
ある柱に人工巣を付けたところ、さっそくツバメが来たそうです。
円い柱のため、壁付けタイプの人工巣に紐を通して付けてあります。
ツバメの人工巣
 
 何種類かの粘土で試作した後の2013年、素材は「軽さ、丈夫さ、ツバメに優しい素材、誰でも入手できるようなもの」をと考えて、市販の『コルク粘土』を使うことにしました。

おがくずを粘土にした木製粘土
で作ったところ、植木鉢のよう
な重くて固い巣になってしまい
ました
 




落下してしまった際の安全面を
考えてコルク粘土を使うことに
しました。
ツバメのイラスト


< コルク粘土製ツバメの人工巣の作り方 >

 ■用意する物:コルク粘土2~3袋、ワラ、型にする器、スプーン、お水、ラップ (オーブン粘土、筆) 
 ■作り方

 ①コルク粘土をねる

 仕上げに使う粘土を少量(ピンポン玉大)取り分けておく。
 残りの粘土にワラを入れて、よく混ぜ合わせる。少し水を入れると混ぜやすい。
 
 ツバメの人工巣
 ②巣の形を作る

 型に粘土を入れて、広げていく。粘土を型に押しつけるようにして、全体の厚みが約1.3㎝に
 なるようにする。
 型と粘土の間にラップを敷いておくと、粘土を取り出しやすい。
 
 ツバメの人工巣
 ③巣の表面に模様を付ける

 型から粘土を抜いて、形を整える。
 巣の横からスプーンを2㎜刺して、そのまま下から上に約1㎝粘土を押し上げ、スプーンを
 抜き出来た出っ張りを指で軽く押しつけて安定させる。
 これを底以外の全体に作る。
 
 ツバメの人工巣
 ④粘土をつけてより巣らしくする

 取り分けておいた粘土で小さな粒を作り、③で作った出っ張りと出っ張りの間に付ける。
 全体を粒々した凸凹にしたら完成です。
 全体を乾かしてから、色が濃い目のオーブン粘土を水で溶き(マヨネーズぐらいの固さに)
 筆で巣の表面に塗るとより巣らしくなります。
 コルク粘土に独特な匂いがありますがオーブン粘土を塗ることで殆ど消すことが出来ます。
 ぜひ、オーブン粘土を塗りましょう。
 
 ツバメの人工巣
 ※型について
 サイズが直径約14~15㎝、高さ約5~6㎝で、紙製のボウル(容器)でよい。
 もちろん、これぐらいのサイズに作れば、型は使わなくても構いません。
 また、少し大きく感じるかもしれませんが、コルク粘土は完全に乾くと1㎝程縮みますので
 このぐらいのサイズで作っておくと、ちょうど良くなります。 
  
 コルク粘土以外の粘土で作る場合、乾燥しても殆ど縮みませんので、このサイズ(上)で
 作ると大きすぎてしまいます。
 
 
■人工巣の大きさ(乾燥後の目安) ※コルク粘土は乾くと縮みますので、下記サイズより全体に1~2㎝大きく作りましょう。  
 ○置きタイプ・・・・・(内寸)直径:約11㎝ 深さ:約4.5㎝ 
 ○壁付けタイプ・・・(内寸)横幅:10~11㎝ 奥行:8~9㎝ 深さ:6㎝ 
   これまでにツバメが使用した人工巣では、ツバメ自身が人工巣の縁に1㎝前後の泥を足し、角度や深さを適度な状態に
  調整したケースが見られましたので、人工巣は完璧な形に巣を作らなくてもよいようです。
  実際のツバメの巣にツバメが入っているのを見ると、巣から顔や背中や尾羽が出ているのが見え、巣のサイズが推測でき
  ます。人工巣も特別に大きく作る必要はなく、適度なサイズに作ったものを用意すればいいようです。巣が深すぎたり、
  大きすぎると、ヒナが糞をする時に巣からお尻を出すのが大変かもしれません。
 
■人工巣の設置
 ○位置・・・建物の構造にもよりますが、天井と巣の間が狭い方がカラスやヘビなどの天敵が入り込み難いため、天井に近い
       位置をツバメは好みます。
 ○接着・・・軽量ですが、落下して人に当たると怪我をする可能性がありますので、コンクリート用ボンド等でしっかり接着
       します。
 ツバメの人工巣
 ツバメの人工巣
     置きタイプ・・・置ける場所がない場合はこのような
            巣台に接着します。
     壁付けタイプ・・・壁や柱等に接着します。
 ○設置後・・・細く柔らかな枯草や藁を底が見えない程度に入れると、より巣らしくなります。巣として使えることをツバメ
       にアピールしましょう。
 ○設置に向いている場所
  ・ツバメが毎年子育てにやってくる地域や、過去にツバメが巣を作ったことのある建物。
  ・軒下やガレージなど雨風や日差しを避けられ、外から見えにくい(天敵に見つかりにくい)場所。
  ・一日を通して、人の出入りや通行が多くある場所。
  ・建物の1階か2階。
  ・天敵の足場となるような物(木、塀、ベランダの手すり、物干し竿など)がすぐ傍にない場所。

ツバメの人工巣


< 古巣も大事 >
何年かツバメに使用されなかった古巣でも、残しておくと再び使われることがあります。
また、壁がつるつるなために付けても付けても泥が付かず、巣の完成に1ケ月もかかるケースもありました。古巣があればそこから泥を足していけばいいので、巣作りが幾分か楽に出来ます。
状態の悪くない古巣ならば、残しておくだけでもツバメの役に立つかもしれません。


< 巣台の大きさ >

巣台を設置するならば、どの位の大きさが適しているでしょうか。
人は巣が壊れてもヒナが地面まで落ちないように、また糞をしても下を汚さないようになどの配慮から大きめの板を巣の真下に付けてしまうことがあります。
でも、これはツバメが望んでいないことなのか、そのような「巣台 兼 糞受け」のような板の設置直後、別の場所に新しい巣を作り直したり、よそに行ってしまうことがあります。
「巣台」と「糞受け」は別にして、適切な大きさの巣台を設置したらよいのではないでしょうか。
ツバメになった気持ちで、大きな板が巣の真下に付いた時、ツバメはどんなことを感じるのかな?と考えてみました。
・巣の出入りがしづらい。
・天敵に乗られて襲われるかもしれない。
・地面から離れた高い所に巣を作ったのに、高い感じがしない。
・真下の様子が見えづらい。

そこで、巣台を作ってみました。右写真の巣台は同じもので、設置する場所の構造によって上下どちら向きでも使えます。置きタイプの人工巣がちょうど乗る大きさで14×12(9.5)㎝です。

 

< 糞受け >

ツバメのイラスト 「ツバメは可愛いけれど、糞は困る」というような場合、左写真のような糞受けを使ってツバメとの共存を可能にすることが出来ます。
NPO法人バードリサーチが作成・配布し、活動を進めています。入手方法・設置方法などは下記サイトをご覧ください。

        ツバメかんさつ全国ネットワーク
 (人工巣の作り方もこちらのサイトで写真でご覧いただけます)

『段ボール糞受け』
イラスト:MINAKO OGAWA

    ツバメのイラスト
2016年のフン受けの絵柄です。たくさんのヒナが元気に育ちますように☆


ツバメの巣作り

ツバメの夫婦が巣作りする様子を見ていると、作業中はほとんど休むこともなく巣場所と巣材の採取場所を何度も往復しています。そして、「ジュ、ジュ」「ジュピ、ジュピ」などど会話しながら巣を作り、それは人の「よいしょ、よいしょ」のようなやる気を出すときの掛け声にも聞こえます。その姿はとても力強く、巣作りの工程を楽しんでいるようにも見え、ツバメが逞しいエネルギーを秘めていることがわかります。
   ツバメのイラスト
Copyright © 2015 Minako Ogawa All rights reserved.