泣けそうになる
夜 この高台に立って
あの高層団地と 向き合う時
過ぎ去った日々が 風となって渦巻く
隣の街の あの高層団地
窓からダイアモンド 散りばめた灯をこぼす
斜めのシルエットが 都会的で好きになった
自分の家を 探して求める
浦島太郎のよう 過ぎ去った十年が
計れずシルエットが 背負ている空を見てた
思わず開けた 玉手箱から
取り出すあれやこれや まぎれなく年をとり
変らぬシルエットに 観音さま重ねていた
泣いてはならぬ
夜 この高台に立って
あの高層団地と 向き合う時
これからの日々を 火星がきっと見守る
寝ぼけた蝉が 木から転げ落ち
愛犬が リードを 引っ張る
若い女性が 駆け寄って
子犬を抱きしめにきた
暗闇で 涙がふくれた