恋の浪路


 

おかっぱ頭 水着のまんま

浜昼顔も 笑ってた

想い出すなあ 実家(ふるさと)

広い座敷は 海のそば

(すだれ)透かして 父の影

 
   
     

白髪も皺も (よわい)をきざみ

恋する(ひと)の 手を引いて

父に会わせる 夢を見た

捨て身だったわ 老いらくの

恋の浪路は 逆巻(さかま)いた

 
 

背中をくるり 浜辺に向けて

小舟を漕いで 帰る(ひと)

何故(なぜ)にぶつけた あの言葉

私、詞を書く 父もよと

喉にからんで 眼が覚めた