河の流れは
すこやかな赤ん坊のよう
生まれたままの姿で
横たわっている
岩の間すり抜けると
ごぼごぼと咳をしながら渦巻く
やがて崖に届くと
オギャーッ、オギャーッ
びっくり声をあげて 白糸の滝
せき止められた
水たまり静けさをたたえ
滝のぼってきた鯉が
まあるいお口で
パクパク宙を食べている
ちぎれ雲浮かんだ水面きらきらと
わくら葉を道づれに
流れていく
岸辺でススキと鴨が見送ってた
河の流れは
絶えることなく生まれ変わる
心に沁みる瀬音に
来し方入り乱れ
故郷の河に遊んでいた
もう二度と戻れない遠い昔
涯てなき流転覚え
河の流れに
希望のせて