迦陵頻伽

竹薮で 啼くのは ウグイス

ホーホケキョ ホーホケキョ

さながらに 迦陵頻伽(かりょうびんが)

極楽から 語りかけているよう

どこにいるのか 声の主

男は懸命に 駆けずりまわった

()誰が 責めたり 出来ようか

ホーホケキョ ホーホケキョ

絶え間なく 迦陵頻伽(かりょうびんが)

さえずり声 響き渡る谷間

一目会いたい 見てみたい

男の情熱 炎と燃えた

すぐそばで 啼き声 聞こえる

ホーホケキョ ホーホケキョ

なおさらに 迦陵頻伽(かりょうびんが)

妖しい喉 武器に 呼びかけている

我に帰って ぎょっとした

男の足元は 険しい崖だった

(注)

迦陵頻伽とは仏教界で極楽にいる
といわれる想像上の鳥。
妙なる啼き声を持ち男は狂い死に
しそうなくらい、心を奪われるという



ああ よかった よかったと 胸なでおろす

これの反対もありましょう

世間によくある 話です