ある女の物語

 

女は 明かり消えるまで

デパ地下の とあるレストラン

猫がすり寄り 寄り添った

あす又会おうと 頬ずりをした   

階下(した)きがねの アパート暮らし 
   
       
  

女は 歌手を目指してた

レッスンを 受けていたという

共に暮らした 男から

雪降る夜中に 放りだされた

むせび泣くよな 人生演歌

   
       
 

女は お茶をしたいねと

お見舞いに 来てた女友達(ともだち) 

細い小指を 絡ませた 

その次の朝に 旅立ったという

一人幕引く 人生舞台

  
       

(セリフ)

ああ神様 どうして味方してあげなかったの

聞き惚れるほど上手な歌手(ひと)

人生を切り開く鍵を あげなかったの……