地図と測量
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【地図の起源】 ヒトは、他の動物に比べると、体力的には劣りますが、 発達した知能により、仲間どうしで情報交換をし、協力しながら、現在まで生き延びてきました。 水の豊かな場所、安全な場所、獲物が集まる場所などの情報を伝達する手段として、 発明されたのが「地図」です。 小学校では、「白地図」を作ったり、「地形図の読図」をしたりします。 → こちら 【三角測量】 ヒトが誕生してから農耕を始めるまでの、狩猟による生活を送っていた時代は、 1つの群れの規模は小さく、また、隣り合う群れどうしも離れていたので、 ヒトどうしが干渉し合う状況は少なく、地図に盛り込まれる情報(距離や方向など)がアバウトなものでも、 それほど大きな問題には、ならなかったことでしょう。 農耕が始まると、土地を耕したり、用水路を造ったりするのに大勢の人々の協力が必要になり、 群れの規模が大きくなっていきました。 群れ内で争わないよう、公平に課税するために、 キッチリ測量して耕地の境界を明確にし、地図に記録されるようになりました。 また、散在していた個々の群れが、それぞれの土地の拡大を推し進めると、 やがて、群れどうしが接触し、群れ間で争いが起こるようになります。 国防のため、あるいは、相手を攻めるために土地の状況を正確に知る必要が生じ、 より厳密な測量技術に基づく地図が求められるようになっていきました。 最も基本的な測量技術は、「三角測量」です。 高校数学で学ぶ「三角比」がベースになっています。 三角形の角度を測り、辺の長さを求めていくことを繰り返し、、各地点の位置関係を明らかにするのです。 三角測量を、初めて実測に用いたのは、オランダの数学者ビレブロルト・スネルで、1615年のことでした。 山頂でよく見かけるものに「三角点」というものがあります。 三角測量により求められた地点なので、このように呼ばれています。 「山の高さを表すもの」と認識されていますが、実は、三角測量は、高さを測量する技術ではありません。 ・・・えっ、どういうこと? 【地形図の索引番号】 社会科の授業などで、地形図を見ることがあります。 等高線の見方を学んだり、いろいろな地図記号を覚えたり・・・。 さて、この地形図ですが、2万5000分の1縮尺のものが多く、 左上に「NI−53−15−9−2」などと索引番号があります。 この索引番号の意味、知ってます? → こちら 【境界は“半径”11km】 地形図(2万5000分の1縮尺)の大きさは、縦42cm×横51cmですが、 このサイズで、南北9.27km×東西13.90kmの範囲を、1枚の地形図に表せます。 → こちら ここで、疑問が生じます。 「なぜ、1枚の地形図に描く範囲を、南北9.27km×東西13.90kmにしなければいけないのか?」 地図作成に必要な「三角測量」を行う際、大前提になっているのが、“平地である”ということです。 凹面や凸面といった曲面だと、3つある三角形の内角の和が180度である保証がなくなります。 ところが、御存知の通り、地球は丸いです。 ごく限られた狭い範囲ならば、地面を平面と見なせるでしょうが、 大規模な範囲になると、もはや、地面を平面として扱うには無理があります。 狭い範囲を測量するときと、広い範囲を測量するときで、測量方法を使い分けないといけないわけですが、 では、いったい、その境目は? 半径何km以内だと、地面を平面と見なして良いのでしょうか? 答えは「半径11km以内」です。 この制限があるため、1枚の地形図に描く範囲は、南北9.27km×東西13.90kmになっています。 いったい、どのような計算から、「半径11km以内」という値が出てきたのでしょうか? 「オイラーの公式」「ベルヌーイ数」を学ぶと、理解できます。 【地球の半径】 「オイラーの公式」と「ベルヌーイ数」を学ぶと、 測量方法を使い分けないといけない、狭い範囲と広い範囲の境界である“半径11km”が分かる! ・・・と言いましたが、実は、もう1つ、忘れてはならない前提があります。 それは、「地球の半径6371km」です。 この値「6371」が出てくるまでにも、長〜いエピソードがあります。 以下にまとめておきますので、興味ある方は、是非、御覧ください。 ●振り子時計の遅れ・・・そもそもの始まりは、振り子時計が遅れていることに気付いたことでした。 ●地球楕円体「GRS80」・・・地球は、横長の回転楕円体です! ●地球の半径6371km・・・「6378」から「6371」になるのは、なぜ? 「塾での授業」に戻る |
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