不動産所得の計算
堀内勤志税理士事務所
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掲載(更新)日: 2016年5月2日
 不動産所得の算出式
不動産所得=総収入金額-必要経
不動産所得とは、次の所得をいいます(ただし、事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く)。
  1. 土地や建物などの不動産の貸付け
    アパートや貸家の貸付けの場合、事業的規模かそうでないかにより所得計算上の取扱いに違いがあります。
  2. 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
  3. 船舶(総トン数20トン以上の船舶)や航空機の貸付け
    よって、上記の船舶や航空機の貸付を除く、動産(車両や機械装置、工具器具備品など)の貸付けは、事業所得又は雑所得になります。
  1. 収入金額
    総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のようなものも含みます。
    1. 名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの
    2. 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
    3. 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など
    4. 賃借人より退去の現状回復費等のため受領するもの(返却すべき敷金等から差引いて受領するものを含む)
    5. 使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満である減価償却資産(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)、取得価額が20万円未満である減価償却資産で、取得の時に「一括償却資産の必要経費算入」の規定の適用を受けたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)の譲渡(その他の収入)
  2. 必要経費
不動産所得の必要経費は、収入を得るために直接必要な費用ですが、貸付資産に係るもの限ります。
よって、家事費・家事関連費用等は除きます。
主な費用としては、
  • 固定資産税
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 建物等を借入金で取得(建設・購入)した場合の借入金の利息
    ただし、不動産所得が損失の場合、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額で一定のものは生じなかったものとして他の所得と損益通算できません。
  • 不動産業者に支払う管理費、事務手数料など
  • 修繕費
    ただし、 一般に修繕費といわれるものでも資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出は資本的支出となり、減価償却資産となり修繕費から除きます。
  • 立退き料(支払った取引内容により取扱いが異なります)
事業的規模とそれ以外の場合の所得計算の相違
  1. 事業的規模の判定
  2. 不動産の貸付けが事業的規模 かどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
    ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
    1. アパート等の貸室の場合、おおむね10室以上であること
    2. 独立家屋の場合、おおむね5棟以上であること
    3. 駐車場貸付の場合、5台で貸室1室と換算します。
  3. 所得計算上の相違点

  4. 事業的規模である場合
    1. 賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、全額必要経費に算入。
    2. 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、回収不能となった年分の必要経費に算入。
    3. 青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除の適用ができます。
    4. 青色申告特別控除については、正規の簿記の原則に従い、記帳し貸借対照表を作成した場合には最高65万円の控除ができます。それ以外の場合は最高10万円の控除です。
    それ以外の場合
    1. 賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入。
    2. 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します(更正の請求又は更正の申出書の提出をすることになります)。
    3. 青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除の適用はありません。
    4. 青色申告特別控除については、最高10万円。
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