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[ゲームについて]
ゲームというと、ファミコンゲームやゲームセンターを連想しますが、ここでいうゲームは、それとはまったく違います。
身近な人、親しい人とよく行われる俗に言う口喧嘩などで、いけないと知りながらついやってしまい、後に気まずい思いが残るイザコザのことです。
夫婦間、親子間でよく見られ、また職場の仲間や上司・部下などの間でも見られます。つまり顔見知りや親密な関係の人と行われるのが特徴で、初対面の人と行うことはあまりありません。
定義づけますと「いけないこと、やってはならないことと知りながらついやってしまい、後に不快感だけが残る行為で、しかも繰り返されるもの」ということができるでしょう。
例えば以下のようなことです。
◆夫の帰りを妻は迎え、しばし雑談します。そして、
「ねえあなた今年こそみんなで旅行に行くんでしょう」
と妻は話を切り出します。
「ウッ、うーん」夫の返事は気乗りしません。
「うーんって、去年も結局行かなかったじゃない。今年は行こうって約束したじゃないの」
「そうだったかな」
夫はとぼけて逃げようとする。
「何よ、香苗だって楽しみにしてるのよ。ねえ、香苗」妻は子どもの援護を求めます。
「しかしなボーナスは今年は減るだろうし、旅行は無理じゃないか」
「ダメ、何泊もしようっていうんじゃないの、1泊くらい無理じゃないわ。わたし行きたいところがあるの、
香苗も行きたいと言うし」
「しかしなぁ」
夫の曖昧な返事は続きます。
「あなたまさか、香苗の楽しみを奪おうっていうんじゃないでしょうね」
妻は次第に感情的になり、言うことも乱れてきます。
そして、ついに妻は切れてしまい、感情が爆発します。
「そうわかったわ、あなたは行く気はないのよ。香苗を可愛いと思ってないのよ。わたしのこともそうよ。旅行な んて行かなきゃいいんでしょ。ええ、行きませんとも。香苗、パパってこういう人なのよ。よくわかったわ」
妻は一種の錯乱状態となり、支離滅裂となっていく。
子どもはおびえて縮こまり、妻は涙ぐんでいる。夫は腕組みをして憮然としている。こんな状態がしばし続くのです。
これらはとかく見られる家庭光景といっていいでしょう。そしてこれらのやりとりは1度で終わらずに、時間をおいて同じようなことがしばしば繰り返されるのです。
こうした諍いを交流分析では「ゲーム」といっています。しかもゲームにはちゃんとした法則があって行われるのです。この法則を知ってうまく根を断ち切れば、お互いいやな思いをしないですむわけです。ではどんな法則があるのでしょう。
◆◯法則1,仕掛ける人と仕掛けられる人がいる
上の場合、妻は仕掛ける人で夫は仕掛けられる人です。そして仕掛けられる人には必ず弱みがあります。夫は前に旅行に行こうと約束した実績があり、それを持ち出されると正面切って反対できないというのが弱みです。
◆◯法則2,しばらくはふつうの雑談が続く
いきなり感情が爆発するというのではなく、過程としてふつうの雑談が続きます。
◆◯法則3,そのうち混乱が起こる
相手の反応に不満だったり、思うような結果が出てこないと、次第に感情が激してきて、やりとりに混乱が起きてきます。
◆◯法則4,切れる(転換する
ついにどちらかに転換状態が起こり、不幸な結末を迎えます。
怒る、怒鳴る、ヒステリックになる、罵る、無言状態になる、その場を出ていくなどです。ときには腕力行為に出 たりします。
◆◯法則5,気まずい思いだけが残る どちらもいやーな気分に支配されます。お互いに相手を非難する気持ち があって、自分を反省する気持ちはまずありません。
なぜこうなったのだろう、どうすればよかったのだろうと自分を振り返ることがないので、しばらくするとまだ同 じことを繰り返してしまうわけです。
ゲームに生産性はありません。不毛な行為というしかありません。不愉快感、不満足感(交流分析では「ラケット感情」と呼びます)しか生まないので、私たちは理性をはたらかせ、ゲームに陥らないように努めることが必要なのです。

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