第27話 相続したくない土地どうする

土地を相続したくない場合、相続放棄するか又は相続土地国庫帰属制度を利用して不要な土地を国に引き取ってもらうことが考えられます。 まずは両者の概要を以下に述べます。

相続放棄とは相続の権利を放棄して相続人でなくなることを意味します。いらない不動産のみを放棄して有用な不動産、預貯金や有価証券等のプラスの金融資産は相続するというわけにはいかず、一切の財産を放棄することになります。もっぱら借金・債券等マイナスの金融資産、使えない・貸せない・売れないマイナスの不動産が、他のプラスの財産を上回る場合に相続放棄がなされます。

一方、相続土地国庫帰属制度は相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認により土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度で、令和5年4月27日に施行されました。所有者不明の土地を発生させないことを目的とする制度で相続登記を義務付けられる反面、不要な土地は相続登記をした土地であれば、一定の土地管理の負担金を支払うことによりその所有権を国に移転できるようになります。

相続遺産の中に再建築不可の宅地や継承者がいない農地や山林等、不要でどうしても相続したくない土地がある場合は、金融資産を含めて一切の財産の相続を放棄して相続から逃れるか、金融資産含めて相続したくない土地でもいったん相続して、その後で相続土地国庫帰属制度を利用して相続したくない土地のみを国へ引き取ってもらうという二つの方法が考えられます。全遺産の集計がプラスの場合、相続放棄するよりも国庫帰属制度を利用した方が賢明と考えます。但し国が引き取る条件がいろいろあるので慎重に検討する必要があります。

なお、この制度は施行日より前に相続した土地にも適用されるので、現在の被相続人が保有する不要な土地が相続により取得した土地であれば、その被相続人が死去して次の世代に相続させる前に、国に引き取ってもらった方が相続税の節約にもなるので、関係者でよく話し合うことをお勧めします。

2024年05月15日