相続財産が金融資産のみであれば資産価値が明確なので、不動産を含む場合と比べて、相続や遺産分割協議は円滑に進むと思われます。
相続財産に不動産がある場合、トラブル発生の可能性について以下に概要を述べます。
次回のブログでは具体的なトラブルの例と対策について考えてみます。
1.相続不動産の資産価値について
不動産の相続税評価額は路線価格又は固定資産評価額を基準に決められます。言うまでもなく、金融資産の相続税評価額は金融資産そのものの金額になります。問題はその不動産が相続税評価額相当額で換金できるかどうかということです。
(1)相続不動産が宅地の場合
宅地の場合であれば債権や担保付きの物件、再建築不可物件、周囲環境が悪い物件、通勤・通学・通院・移動に不便な物件は相続税評価額相当額では売れない貸せないことが生じます。そのような宅地を相続した場合、相続人がそこに住むならともかく、相続税は勿論、固定資産税と土地の管理費用を自腹を切って支払う負の不動産になります。
(2)相続不動産が農地の場合
農地(田畑)の場合であれば固定資産税評価額を十数倍した金額が相続税評価額になります。農地の売却や賃貸しあるいは農地を宅地に転用するにはいろいろ制約があり容易ではありません。農地の相続人はその農地で農作物を作ることが求められます。耕作を放置すれば行政から農地として管理するように指導が入り、その管理費や農地の固定資産税は納税しなければなりません。収益をあげられる農地でなければその農地は負の不動産になります。