第25話 農家住宅の相続

農家住宅とは建物の建築ができない市街化調整区域に農地を持ち農業を営む農家Aさんための住宅で、開発許可を受ける必要はありませんが、Aさん以外は使用できません。農業を営むために通常は住宅が建てられない土地に特別に許可されて建築した住宅なのでAさんという「属人性」に基づく住宅です。
農家住宅を相続した相続人が農業を継承してそこに住むには問題はありませんが、相続人が他に自分の住居があり農家住宅にすむ予定がない場合、問題が起きないように注意する必要があります。まず農家Aさんが住むことが許可条件なので他人に貸すことはできません。次に売却は可能ですがその家に住めるのは農家の資格を持った人だけで一般の市民は住めません。下手すると空家になり相続人は固定資産税や空家管理費を負担しなければならず、負の不動産を相続することになります。但しAさんが農家住宅として十分活用し、家を手放さなければならない事情が生じた場合、属人性の解除(都市計画法で定める用途変更)ができたりします。属人性が解除されるとAさん以外の第三者が住むことが可能になり、賃貸しや売却がスムーズにできるようになります。Aさんの相続人が農業を継承しそこに住む予定がなければ、Aさんが存命中に農家住宅の属人性解除(用途変更)申請を行うことをお勧めします。

2024年05月15日