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第1部 ||その名もファロー四徴症||疾患の経過と現在||児童・生徒・学生として||社会人に成り損ね||
第2部 ||ドレガ◆ワタシノ◆エラブミチ?||迷い道く〜ねくね〜|| Road to "Last Chance!?" || 活かさない ||
よりみち || その1昭和48年退院時の生活マニュアル || その2マジ本気マジカルテ ||

その名もファロー四徴症
私が本を見て書いた苦心作、心臓君  はじめに
 私は、看護婦さんでもなく、お医者さんでもなく、医学の知識はまるでありません。これから私がお話しすることは、私が自分の体について自分なりに本を読んだり、お話しを聞いたり、私が体験した範囲内で分かっているかな? ということです。 ですから、詳しい部分で間違っているところもあると思います。医療従事者の方々から見ると間違いだらけかもしれません…。お気づきの点は教えて下さい。
また、心臓病といっても様々な疾患があり、更に同じ疾患名でも個人個人で違いがあるということも、どうぞ頭に入れてお読み下さい。

ファロー四徴症という心疾患
 心疾患にもいろいろあって…(というのは前段で言いましたが)、ある本によると、新生児の100人に1人は心疾患(心奇形)があると書かれています。多くは、自然に治癒してしまって全く健康であるようです。 しかし中には、治療しなくてはならない疾患があります。先天性(生まれつき)の心疾患でよく聞くのは、「心室中隔欠損症」「心房中隔欠損症」。思いっきり簡単な説明ではよく“心臓に穴が空いている”と言います。病気の多くは長くて漢字ばっかりの 疾患名ですよね。そのなかで、ファロー四徴症という疾患名…。私はこの「ファロー四徴症」という単語を物心ついたときから知っていました。当たり前といえば当たり前だけれど、自分がそのファロー四徴症なのだということも知っていました。 「ファローってぇ、なんだかぁ、歯磨き粉の名前みたいだよ…」と思っていました。たぶん、この病気を発見したお医者さんの名前だと思います。「四徴症って漢字難しい…」“微”か“徴”か今でも書き間違えそうになるほどです。
4つの特徴を持った疾患。医学事典など見ると、1.心室中隔欠損 2.大動脈騎乗 3.肺動脈狭窄 4.右心室肥大 この4つとなっています。

本を見て脚色した ファロー心臓君 1.心室の左右を分ける壁に穴が空いている
 2.左心室から出るはずの大動脈がずれて、左右心室にまたがっている
 3.右心室から出る肺動脈がすごく細い狭い
 4.右心室の周りの壁の筋肉が厚くて大きくなっている

いっぺんに4つもの症状を備えた欲張りな疾患だねぇということになります。
私の場合、特に肺動脈が極端に細く、針が通るか通らないかという状態だったそうです。これらの心奇形から、肺を通ってきた新しいきれいな血液と、体中を駆けめぐってきた古い血液があなや大動脈などで混ざってしまい、血液中の酸素が非常に少なくなります。酸素が少ないと、当然、体のエネルギーが足りないので、ちょっと体を動かすとすぐに呼吸が荒くなって苦しくなります。また、身体中を駆け巡って酸素を配り終えた汚い血が、いつも新鮮できれいな血と混ざっているので血液が固まりやすく、いわゆるドロドロ血液の状態です。なので、血管が詰まりやすいというリスクがあります。さらに、心臓は大きければいいというモノではなくて、程々の大きさがよいので、心臓の壁の肉が厚くなると心臓の動きが悪くなり、心臓に大きな負担がかかっているらしいです。

 酸素不足で唇、ほっぺ、指先などが紫色になっていて、この病気の特徴として、爪が大きくて丸い太鼓のような爪の形をしています。赤ちゃんの内は、泣くと顔色が極端にわるくなるチアノーゼがみまれます。だから、うちの母は「赤ん坊を泣かせないように」と言われて実行していたらしいです。でも、私は泣き虫です。少しの運動で苦しくなったり、泣いて呼吸が荒くなったりしたときは、膝を抱えてうずくまったような状態(蹲踞:そんきょ)になると少し楽になります。大人になった今でもしゃがんでいるのが一番楽…。 気がつくと、通称“猿座り”の姿勢で、テレビなんか見てたり。
 個人差はあるけれど、この病気は放っておくと、幼児期まで生き延びないでしょう。
大ざっぱに、これがファロー四徴症です。

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第1部 ||その名もファロー四徴症||疾患の経過と現在||児童・生徒・学生として||社会人に成り損ね||
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よりみち || その1昭和48年退院時の生活マニュアル || その2マジ本気マジカルテ ||

疾患の経過と現在

 生まれてから、泣くとチアノーゼがあって、母乳飲みが悪かった。1ヶ月検診で、心雑音がありといわれ北海道大学病院を受診しました。心雑音は静か〜なところで寝ていると自分でも聞こえます(気のせいかもしれませんが)。鼓動の上にかぶさるように、サーサーという音。
 2歳4ヶ月、カテーテル検査のために入院します。そこでファロー四徴症ではないか? と言われます。そして数日後退院。たぶん母がこのとき病院で「心臓病の子供を守る会」(現:全国心臓病の子どもを守る会・北海道支部)を知り、入会したのだと思います。当時は札幌に支部がなく、函館支部に入会。
また数日後、今度は手術のために入院。左ブレロック手術をしました。ブレロックって何だ? 鎖骨の下から左腕を通っている自分の血管をとって、肺動脈につなぐというものです。この結果、肺動脈が狭くなっている部分を補強し血液がそれまでよりはたくさん流れるようになりました。
 1ヶ月ほどで退院。退院した時、看護婦さんが書いてくれた生活のきまりは今でもとってあります。しかしまだまだ唇は紫色で、ほっぺも赤黒い…。はじめて歩いた長い距離(1Kmあまり)は、のんびりのんびり道草しながら1時間以上かかったそうです。今でも道草の癖は抜けません…。
5歳で幼稚園に入園。お休みがちだですがなんとか通いました。冬は定期券を買ってバス停2つ分をバスに乗るか、天気の良い日はおばあちゃんが、ソリでお迎えにきてくれました。おばあちゃんがソリを引っ張っていると、うしろから同じ幼稚園の園児がついてきて押したり、走って追いかけてきたりしていたのを覚えています。楽しいソリ遊び(?)最近あまり見なくなりましたね。
外から帰ってくると、寒くてますます顔色が悪くなります。すぐにストーブの前に座らせられ、急速解凍。
翌年、晴れてピカピカの一年生。ランドセルに背負われているとか、ランドセルが歩いているといわるほど、小さかったのです。学校から帰ってくると疲れてお昼寝。半年に1度の心臓検診を受けていました。

2度目の手術
 4年生の冬休み、根治手術を目標に、知り合いの方に紹介していただいた先生を頼り東京女子医大病院に入院しました。小児科でもなく心臓血圧研究所でもなく、心臓外科にいました。母が横浜の親戚の家から病院に毎日通ってきました。北海道の家には、父、おばあちゃん、当時3歳になる弟が残りました。手術前の根治手術をする予定でしたが、手術前の3度のカテーテル検査の結果から、手術のリスクなど考えて、結局根治手術をあきらめました。後年、心臓血圧研究所に入院していたら無理でも根治手術をしていただろうという話になりましたが、それが良かったのかどうか今となっては解かりません。
 すっかり冬休みは終わり、3学期もお終いの3月、手術をします。今度も血液の循環をよくするための右ブレロック手術です。今回は人工血管を使用しました。この手術のレポートは普段いつも持ち歩いている「心臓手帳」に貼ってあります。
このとき、前回の術後の経過が見られましたが、当時としてはなかなか良好で、肺動脈狭窄を補う役目をよく果たしていたようです。4月、手術後の経過を見るカテーテル検査(患者さんたちは“卒業カテ”と呼んでいました)を済ませて、3ヶ月半の東京での入院生活を終え、北海道に帰ってきました。3学期をまるまる欠席しましたが、なんとか5年生になりました。

 その後、ほぼ順調に現在に至ります。 この間、22歳まで、地元の市立病院で半年に1度の検診を受けていました。また2度目の手術の1年後と20歳の時に東京女子医大で検診してもらいました。現在は1年に1度の検診ですが、一度ゆっくりカテーテル検査も含めて検査してもらおうかなぁと思っているところです。 →そして1999年にゆっくりカテーテルを受けた話はこちら。

 どのお医者さんも、今の体力であれば無理をして危険な手術をすることはないのでは? とおっしゃいました。私自身もそう思っています。年月が経つに連れて、手術した部分は癒着などを起こし、それをもう一度開いて手術するというのはそれだけ難しくリスクもあるようです。なによりも、弱いなりにも20数年間にできてきた心臓のバランス、そしてこれまで得てきた自分の体力やとのつきあい方を崩す恐れのある手術をしなくても、それなりに生活できる今が幸せに思います。
 現在、特別、薬も使っていません。
 ずっと生まれたときから走れない、階段を昇るのはすごく大変。歩くのも他の人と同じスピードではすぐ息切れをしてしまいますから、ゆっくり。なんでものっそり、ゆっくりやっています。基礎体力が養えなかったので、重いものを持ったり長時間立っていたりは大変疲れます。腕も足も筋肉がまるで無いに等しい貧弱な体格。でも、朝寝坊、夜更かし、偏食(甘いものが大好き)をしてダラダラと暮らしています。カラオケに行って呼吸器官、肺を鍛えています(ウソウソ、ただ好きだから行くのです)。飲み会があれば、ウーロン茶で盛り上がっています。お酒は特に禁止されているわけではないのですが、 アルコールは一口飲んだだけで、鼓動が早くなります。病弱な癖に不摂生な生活をしているので、あまりまねしないでね(まねする人はいないでしょうけど)。友人たちは、私といても私が心臓病だということを忘れてしまうといいます。まぁそれだけ元気なのです。体使わず口使って楽しく過ごしています。 →しかし、30歳を越えてツケが回ってくる話はこちら。

 

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