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  居合兵法無雙直傳英信流 阿勢塾
無雙直傳英信流概説

目次

一、居合兵法無雙直傳英信流概説
二、居合道の意義
三、居合道の目的
四、居合道の要諦
五、無雙直傳英信流正統系図
六、居合の流派と流祖およびその時代
七、日本刀および拵の名称
八、礼法
 (一)提刀
 (二)神前の礼
 (三)着座
 (四)座礼
 (五)刀礼
 (六)帯刀
 (七)起立しての刀礼ならびに帯刀
九、無雙直傳英信流居合種目
十、無雙直傳英信流修業者の心得三十五則
十一、無雙直傳英信流先達の教え
十二、無雙直傳英信流居合種目習得控


本文(抜粋)

一、居合兵法無雙直傳英信流概説
  
  居合兵法は、日本の歴史に於いて、剣豪と呼ばれる先達により苦心研鑽の末に創案された、日本刀を以て実践する心身修養錬磨の道である。危難に際して直ちに身を守る刀法であり、一連の修業により強靭な心身を錬成することは元より、常に敵(危難)を想定することにより自己の本質を究明する、禅にも匹敵する無雙の大道であり、武道の根源である。出処進退を含め、現代に於いても些かも価値が減ずることのない人生の大道と言えよう。
 居合の初祖は、永禄(1558年~)年間の人、羽州(山形県村山市大字林﨑)最上家の家臣、林崎甚助源重信公であり、流名を神夢想林崎流、またの名を重信流と唱えた。下って享保(1716年~)の頃、初祖・林崎甚助公以来の達人とされる正統第7代長谷川主税助英信公が、古伝の業に独創の業を加え、流名も無雙直傳英信流と改め、郷国とされる土佐の国に伝えた。以来第19代宗家まで土佐の御留流として伝承されたが、正統第19代宗家福井春政鉄骨先生は、昭和25年(1950年)、大阪の河野稔百錬先生に正統第20代宗家を継承された。昭和29年(1954年)に結成された全日本居合道連盟理事長も務めていた河野先生であったが、昭和49年(1954年)に急逝され、昭和35年より副理事長として河野先生を補佐して来た平井一蓮阿字齋先生が最高弟として正統第21代宗家を継承し、翌昭和50年(1975年)、大日本居合道連盟を創設するところとなった。平井先生は、無雙直傳英信流居合兵法阿字会を結成し、正統居合の指導、普及に尽力されたが、平成4年(1992年)、子息平井明阿字齋先生に正統第22代宗家を譲り同年逝去された。平成18年(2006年)、平井明先生は大日本居合道連盟理事長を引退、同年、福嶋豊伸阿正齋副理事長が理事長に選任され、翌平成19年(2007年)、清宮芳郎阿陽齋先生が正統第23代宗家を継承された。僅か2年後の平成20年(2008年)、清宮先生は不慮の事故により逝去され、翌平成21年(2009年)、福嶋理事長が正統第24代宗家を継承され、同時に「居合兵法無雙直傳英信流阿号之会」を組織し、平成26年6月現在、全国30支部を擁し、支部訪問稽古会をはじめ、指導者講習会や合同稽古会等の普及啓蒙活動を通じて会員拡大の途上にあることは、斯道発展の上で誠に意義深いことである。(後略)

二、居合道の意義

  居合とは、剣道の抜刀後の立合に対して居合(抜刀前の心構えと抜刀の瞬間 に敵を制する刀法)との意であり、敵の不意の襲撃という危難に際して直ちにこれに応じ、先または後の先の鞘放れの一刀により勝ちを制する必要上創案された刀法であり、坐して居る時、歩行する時、その他あらゆる時とところに於ける正しい刀法と身体の運用を錬磨することを通じて、己の心を治める道である。

三、居合道の目的

  居合道修錬の目的は、真剣を以て定められた武技を通じて、身体を錬磨し、技術の錬達を図り、礼譲慈愛に富む質実剛健な精神を養い、国家社会に貢献出来る人間を育成することにある。即ち武道を通じての人生修養である。

四、居合道の要諦

  居合道の修養は、単に真剣により敵を斬突することを目的とするものではなく、鍛錬を通じて些かも弛みのない気魄を養うこと、すなわち臍下丹田に気力が充実し、一切の動作が円熟し、天地正大の気自ずから生じる気位に到達するところにあると言えよう。臨機応変、融通無碍さらには人知を超えた霊力を得る、換言すれば、居合道は、一剣技ではなく自己の生命と身体の存在意義、さらには自己と社会の関わり方、あるべき姿をも究明する養心処世の大道であり、これこそが武道の根源であろう。

五、無雙直傳英信流正統系図

 流   祖  林崎甚助源重信    -   二   代  田宮平兵衛業正
 三   代  長野無楽入道槿露齋 -  四   代  百々軍兵衛光重
 五   代  蟻川正左衛門宗続   -   六   代  萬野団右衛門尉信定
 七   代  長谷川主税助英信   -   八   代  荒井勢哲清信
 九   代  林六太夫守政     -   十   代  林安太夫政詡
 十 一 代    大黒元衛門清勝    -   十 二 代    林益之亟政誠
 十 三 代    依田萬蔵敬勝    -  十 四 代    林弥太夫政敬
 十 五 代    谷村亀之亟自雄     -   十 六 代   五藤孫兵衛正亮
 十 七 代    大江正路子敬    -  十 八 代    穂岐山波雄
 十 九 代    福井春政鉄骨    -  二 十 代    河野稔百錬
 二十一代   平井一蓮阿字齋     -  二十二代   平井明阿字齋
 二十三代   清宮芳郎阿陽齋     -  二十四代   福嶋豊伸阿正齋


六、居合の流派と流祖およびその時代

  無 雙 直 傳 英 信 流     林崎甚助源重信          室町

 
神 夢 想 林 崎 流     林崎甚助源重信          室町
  伯   耆   流     片山伯耆守久安          江戸
  田   宮   流     田宮平兵衛業正          江戸
  無   楽   流     長野無楽入道槿露齋        江戸
  関   口   流     関口弥六右衛門氏心        江戸
  水   鷗   流     三間与一郎左衛門景延       江戸
  新  田  宮   流     和田平助正勝           江戸
  長 谷 川 英 信 流     長谷川主税助英信         江戸
  無   外   流     辻月丹無外            江戸
  北 辰 神 櫻 流     篠田櫻峰正庸          明治
  夢 想 神 伝 流     中山博道            昭和


七、日本刀および拵の名称



八、礼法

(一)提刀   刀を左手に持ち、刃を上に棟を下にして親指で鍔を押える。
       下緒の三分の一のところを右手人差し指と中指の間に挟んで持
       ち、その下緒を左手人差し指と中指の間に挟む。左腰に下げ、
       力を抜いた自然体が提刀の姿勢となる。

(二)神前の礼 提げた刀を前に出し、下緒を前記の反対に右手に取る。下緒
       を挟んだまま右人差し指を鞘の棟の方に伸ばして栗形下部にて
       右手に持ち替え、刃を後ろ棟を前に向けて背筋を伸ばして立ち
       、神座に向かい礼をする。立礼はこれに倣う。

(三)着座   着座は、神座または上座を左にして着座する。提刀の姿勢か
       ら左足を僅かに引き、袴の左右内側を順次外側に捌き、左膝を
       前に進めて着き、次に右膝を左膝に揃えて着座する。両足裏は
       重ねず(重ねても親指、左右親指が付く程度で良い)、両膝の
       間隔は拳一つ程にして静かに着座する。
        右人差し指と中指の間に下緒の三分の二のところを挟み、右
       親指で鍔、他の指で鞘を握り、左手は指を揃えて伸ばして左腰
       にあて、軽く鞘を押えながら右手で鞘ごと抜き取るように鐺を
       右後ろに運ぶ。刀を床に置く際は、音を立てないよう鐺から着
       け、前に倒すようにし、刃を内側に棟を外側に、鍔が膝の線に
       あるように、体側より三寸程離れたところに置く。
        肩の力を抜き、両手は脇腹を打たれないよう自然に垂らし、
       手は股の付け根に指を揃えて置く。肘を張らないよう気をつけ
       る。目は、半眼にして水平線上遠くの山にたなびく霞を望むが
       如く(この目を「遠山の霞」と言う)、顎を引いて臍下丹田に
       力を入れる。上体が屹立し、八方ならびに正面の敵に対し、何
       時でも如何ようにも応じられる心と身体の構え、態度でなけれ
       ばならない。

(四)座礼   左手を、指先を伸ばして左膝前五寸程前に着く。次に右手を
       同様に着いて両手の人差し指と親指でお結びになるようにして
       頭を下げる。礼をする際、頭を身体の線より下げ過ぎると襟が
       離れるので注意する。頭を上げ、右手、左手の順に元の姿勢に
       戻る。

(五)刀礼   右手で下緒、刀を取って鐺を右斜め前一尺二、三寸程に出し
       、刃を手前にして置き、下緒を鞘の棟側から鐺に回す。刀の刃
       の部分が身体の中央となるように置く。正対した後、座礼と同
       様に礼を行う。

(六)帯刀   下緒の三分の一のところを右人差し指と中指の間に挟んでと
       り、そのまま右手で鯉口を握り、人差し指を鍔の耳にかける。
       終礼の時は親指をかける。刀を身体の前四、五寸のところに立
       てる。左手を指ごと伸ばし、刀の物打部の鞘に添える。そのま
       ま鐺まで滑らせ左腰に運ぶ。終礼の時は左手で持つ。帯の身体
       から一重のところに鐺から差して、袴の下紐の上に出るよう帯
       刀する。脇差は、刀の内側、帯と着物の間に差す。下緒を左手
       で後ろの鞘上にかけ回す。あるいは鞘にかけ回して袴の左下紐
       に一重に結ぶ。下緒捌き等、刀を差しての所作は、鐺を床に当
       てることのないよう右手で柄を握るか、柄を左右の手で抱くよ
       うに行う。柄頭が身体の中心になるよう一度で決めて差す。柄
       を何度もしごいたりしてはならない。帯刀して正座した姿勢、
       心構え、態度は前項と同様であり、威風堂々の気魄が籠もり、
       即応の構えでなければならない。

(七)起立しての刀礼ならびに帯刀
       
        場所の制約等により起立して刀礼ならびに帯刀を行う時は、
       提刀の姿勢から提げた刀を前に出し、下緒を右手に取って棟の
       方から回して物打部に添え、刃を手前に刀が身体の中央となる
       ように肘を伸ばして目の高さに水平に掲げ、正対した後、刀を
       やや持ち上げる心持で礼を行う。刀を身体の前に立てて持ち、
       前記と同様に帯刀する。

九、無雙直傳英信流居合種目(略)

十、無雙直傳英信流修業者の心得三十五則(略)

十一、無雙直傳英信流先達の教え(略)

十二、無雙直傳英信流居合種目習得控(略)


                            以上

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