オスピタレロ(Hospitalero)について
1.オスピタレロ Hospitalero体験
アルベルゲに宿泊すると何処でも親切なオシピタレロが出迎えてくれ、巡礼路や町の案内はもとより体調不良や怪我等の際にも的確な対応をしてくれます。中世には多くの巡礼者が巡礼路を歩いたが、巡礼路の各都市、村では巡礼者の宿泊や病人の治療を行う施療院等があり奉仕の精神で多くの人が働いていました。巡礼路の町、村では現在でもこの精神が残っていると思われ、オスピタレロもこの奉仕の精神を引き継いでいると感じています。私も一度はこの仕事を体験したいと考えていましたが、2011年のVia de la Plataを歩いた後に日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会が友好関係にあるアストルガ(Astorga)にてオスピタレロとして仕事を体験する事が出来ました。
2012年には Federación de Asociaciones de Amigos del Camino de Santigoが開催するオスピタレロ・ボランティア講座(Hospitalero Voluntario)を受講し、翌年の2013年と2014年にFedraciónが派遣するAlbergueにてオスピタレロとして仕事をしています。 ここでは、オスピタレロに興味を持つ方及びこれからオスピタレロをやってみたい方に概要を記載します。
(注:Hospitalero オスピタレロ/ホスピタレロ=スペイン語では"H"を発音しないので
オスピタレロと記載します。)
2.オスピタレロの仕事をするために
(1)オスピタレロの仕事に必要な事
オスピタレロをの仕事は基本的にボランティアであり特別な資格を必要とするものではありません。
仕事をするために必要な素養は下記と思います。
① ボランティア精神と協調性
何処でも食事と宿泊は提供されるが基本的にはボランティアであり、巡礼者の為に奉仕する精神が
必要です。
またオスピタレロ同士や巡礼者の対応に柔軟な協調を要求されています。
② 語学力
ヨーロッパ各国から来て仕事をしているのオスピタレロは自国語はもとより数ヶ国語を話すバイ
リンガルの方も多く、各国の巡礼者の対応に問題なく仕事をしています。
アルベルゲの管理者であるオスピタレロはスペイン人であることから仕事の指示や日常生活に
スペイン語は必須であり、まずはスペイン語を勉強する事が必要です。
③ 体力と健康
朝早くから巡礼者を送り出し、管内の掃除や当日の巡礼者受け入れの準備など最盛期には一日
忙しい状況が続きます。
まずは仕事の期間中に自分が体調不良になって迷惑をかけないように体力と健康が必須です。
(2)オスピタレロの仕事を得るために
オスピタレロの仕事を得るための手段に下記があります。(もっとあるかと思いますが一例です)
① 気に入ったアルベルゲがあれば管理者のオスピタレロに働くことをお願いする。
巡礼途中で気に入ったアルベルゲが見つかれば、巡礼後または数日間でも滞在してオスピタレロ
として仕事をしたいとお願いする事が早道です。
私営Privadoのアルベルゲではこの方法で仕事先を見つけることが可能です。。
② オスピタレロ講座に参加してアルベルゲを紹介して貰う。
現在、オスピタレロの為の講座を開催している機関は下記です。
サンティアゴ大学(USC) オスピタレロ講座 Curso de Español para Hospitaleros |
・期間:1週間(20時間)
|
|
・期間: 3日間(週末開催) |
Camino de Santiago 友の会連盟 Cursos de Hospitaleros Voluntarios
|
・期間:3日間(週末開催) |
3.Cursos de Hospitaleros Voluntarios を受講して
Federación de Asociaciones de Amigos del Camino de Santigoが毎年開催している
Cursos de Hospitaleros Voluntariosを2012年5月に受講したのでその内容を下記に記載
します。
1.受講期日 : 2012年5月25日(金)~5月27日(日)
2.場所 : Cercedilla (MADRIDから電車で約1時間、Camino de Madridの通る村)
3.受講プログラム : 日程表を下記に添付します。
Cursos de Hospitaleros Voluntarios Horario
4.受講者: 約20名 (ほとんどがスペイン・マドリッド近隣の方、外国人は英国人1名と私のみ
5.内容について
オスピタレロとして必要なスペイン及び巡礼路の歴史(2H)は座学であったが、他の項目は
参加者でブレンスト-ミング、体験シュミレーション等で楽しく有益な無いようであったが
ほとんどが現地の方でスペイン語での講義と実習は大変でした。
最後に説明を頂いた、「CONCLUSIONES PARA NO ORVIDAR」は今後の仕事に役立つ言葉
でした。
参考: CONCLUSIONES PARA NO OLVIDAR
6.Federación de Asociaciones de Amigos del Camino de Santigoがオスピタレロを派遣
するアルベルゲでフランス人の道では、下記のアルベルゲ等があります。
・Grañon : Albergue parroquial San Juan Bautista
・Burgo Ranero : Albergue del Burgo Ranero, Domenico Laffi
・Ponferada : Albergue Peregrinos San Nicolás de Flüe
・Samos : Albergue del Monasterio de Samos
その他
いずれも宿泊料は寄付(Donativo)で食事を提供する個所と宿泊のみの箇所があります。
他に北の道、Via de la Plata等に数ヵ所のアルベルゲを運営しています。
会場の看板 | 一緒に受講した仲間と |
4.Hospitalero体験記
4.1 Albergue Bercianos del Real Camino
前年(2012年5月)にFederación de Asociaciones de Amigos del Camino de Santigo
(以下、 Federaciónと記す)の講習会を受講したので、2013年6月にフランス人の道の
Albergue Bercianos del Real Caminoにて2週間のHaopitaleroとして仕事をいましたので、
その様子を下記に記載します。
場所:Albergue Bercianos del Real Camino
(フランス人の道、サアグーン(Sahagun)から10Km程度のBercianos del Real
Caminoの村にある。)
運営; Parroquia <Bercianos del Real Caminoの教会が建物を所有しているが、設備や
Hospitalero等の運営はレオンの友の会(La Asociación de Amigos del Camino
de León)が行っている。
ベット数;46
期間:2013年6月25日(月)~ 7月9日(火)
5月中旬から北の道を歩く事にしていたため、2月頃にFederaciónへ連絡して、何処かで
Hospitareloとして働ける所を依頼したところ、2,3の場所を紹介してくれましたが、
食事の提供があるとの事でこのAlbergueで働きたいとお願いました。なお、働く期間は
2週間と決められています。
6月25日にAlbergueへ行ってみると、HospitaleroのJoseんが一人で掃除をしていた。
46名のベットがあり食事も作るので3,4人のHospitareloがいると考えていたが、都合で
2,3日前に帰ってしまい1人でやっていたとの事でした。彼も今週末には終了との事で1日
目から仕事の内容を教えられて始めたが、通常は下記の日課で自分の時間がほとんど持てず
かなりの重労働でした。
毎日のスケジュール
5:50 起床、開館
朝食準備開始
6:30 朝食の提供
8:00 自分たちの朝食
8:30~11:00 掃除
11:00~12:00 食糧品の買い出し、シャワーを利用
12:00 昼食
13:00 Albergueの受け付け開始
16:00~19:40 夕食の準備
20:00 夕食の提供
21:00 食器の洗浄
21:30 巡礼者ミサ(1回/週 程度)
22:00 消灯、閉館
22:30 自分たちの夕食
23:00 就寝
Albergueは食事込みで献金(Donativo)としており、夕食・朝食とサービスも良いので
巡礼者に好評であった。特に食事後に皆で歌を歌ったり神父さんが来て巡礼ミサも行うので
連帯感も出来て我々Hospitaleroへの信頼も高く、大変やりがいのある仕事でした。
但し、私もスペイン料理(通常のメニューはレンズ豆の煮物<レンテハ;Lenteja>)を
作るのは初めてであったがスペイン人のHospitareloのお手伝いで作れた事が楽しかったです。
しかし、Hospitareloが2週間交替である為、仕事を覚えた頃に交替となるので最初に働く
Albergueでは勝手が分からず皆さん大変でした。
また、食料品も自分たちで買い出しに出かけるので最初の1週間は同僚も車が無く、近くの
Tiendaや車で売りに来る食料品を買って対応していたので苦労しました。
(地元、スペインのオスピタレロの方は自宅から車で来て利用しています。)
Federaciónが派遣しているAlbergueは教会の運営するParroquiaが多いが、Municipalの
所もあり次回は食事提供の無い所もありますので次回はその様な所を希望したいと思いました。
Albergue Bercianos Real del Camino | Albergueの受付 |
レンテハ(Lenteja)料理 | 一緒に仕事をした仲間と |
4.2 Albergue del Monastrio de Samos
Albergue Bercianos del Real Caminoでは食事の提供があり、仕事も大変でしたので次回
は食事の提供の無いAlbergueも経験したみたいと思い、2014年はFederaciónの紹介で有名な
Samos修道院が運営している、Albergue del Monasterio de Samonにて仕事をしました。
場所:Albergue del Monasterio de Samos
(フランス人の道、トリアカステーラ(Triacastera)とサリア(Sarria)の途中にあるが、
この区間2ルートありサモス(Samos)を経由しない道もあります。)
運営: サモス修道院(Monasterio de Samos)
ベット数:42
期間:2014年6月17日(火)~ 7月2日(水)
従来は修道院の3階に70名程度収容の部屋がありましたが、設備も古くなり運用に問題があっ
たとの事で現在は修道院の裏手にある1階の部屋を使用しています。
設備はベットとシャワー、トイレがある程度のシンプルなものになっています。
(なお、学校等の団体については別に宿泊用の部屋を持っています。
料金はDonativo(寄付)で食事は提供していません。
オスピタレロは2人で担当しますが宿泊や食事などの関係から男性のみになっているとの事です。
偶然にも、昨年にAlbergue Bercianos del Real Caminoで一緒に仕事をしたMさんであった
ので、気心も知れていて大変助かりました。
オスピタレロの部屋は修道院の2階で食事は神父・修道士と一緒の場所で取る事が出来たのが
素晴らしい経験になりました。
宿泊の巡礼者は30名程度から満室まで日によって変化があり、部屋も大きくはないので掃除等
の仕事も比較的楽でしたが、病人や問題が発生した時にはオスピタレロが対応の必要がある為
やはり言葉の問題で苦労しました。
前年は巡礼者と一緒に食事をしたり交流が深いものでしたが、食事提供の無いAlbergueはやはり
仕事のやりがいも異なるものがありました。
ここは男子修道院なので原則として女性のオスピタレロは仕事ができません。
サモス修道院(Monasterio de Samos) | Albergueの室内 |
Capillaの案内 | 一緒に仕事をした仲間と |
4.3 Albergue del Monastrio de Benedictinas (León)
ここで紹介するAlbergueとは別に私は毎年アストルガ(Astorga)のAlbergue de Sirvas de
Mariaでボランティアをしていますが、2014年夏にアストルガにいた際にレオン(のAlbergue
de Monasterio de Benedictinasを紹介され2015年10月1日から2週間働きました。
設立は1993年でレオンでも古いアルベルゲなので泊まった方も多いかと思います。
場所:Albergue de Monasterio de Benedictinas (León)
運営: Comunidad de Benedictinas
ベット数:132
期間:2015年10月1日(木)~ 10月15日(木)
2017年10月1日(日)~ 10月15日(日)
このアルベルゲはHPでオスピタレロの一般募集をしていますが、ACCのメンバーとなった
事からACCの講習を受けて仕事をする方が増えました。またレオンの友の会(Asociación
Amigos de Camino de Santiago de León)のメンバーが協力してオスピタレロを担当
しています。
私が到着した際にも前任の担当の方が友の会の方で親切に説明をして頂き仕事を引き継ぎました。
オスピタレロは4名が基本でグアダラハラ(Guadalajara)の3名と一緒でしたが毎年の様に来て
おられる方で慣れておられるので大変お世話になりました。
アルベルゲは修道院の建物を利用していますがホテルも隣接しており、巡礼者用の食堂もあります。
朝食はDonativoですがパンとコーヒー程度を提供していますので交替で朝は6時前に起きて準備を
します。掃除は担当の方が来られるのでゴミの整理や外回りの掃除等です。
アルベルゲの担当の方(修道女:Sor Mariaさん)もおられるので問題があった際には相談が出来
て前項の様なFederaciónの様な苦労はありませんでした。
このアルベルゲでは年間でオスピタレロのスケジュールを決めています。現在はACC(Acogida
Cristiana en los Caminos de Santiago)のメンバーとなっていますので、そちらから紹介し
てもらう事が出来ます。(下記を参照してください。)
¿ Que son los Hospitaleros Voluntarios ?
Albergue de Monasterio de Benedictinas | Albergueでの受付 |
以上