France フランス Bordeaux ボルドー地方 |
Medoc メドック地区 |
Margaux マルゴー村 |
メドック格付け第1級(5大シャトー) このワインに詳しい説明はいらないほどのシャトー・マルゴー。ボルドーで最も名のしれた87haの畑は、小石が多くその下方に石灰質の土壌が存在、緩やかな傾斜によって適度な排水と保水のバランスを保っているとされます。 | |
マルゴーの歴史は、1855年の格付け以来、様々な所有者に転売され、1900年代中期に有力なネゴシアンのジネステ社の所有になりました。その後1960年代後半には、ジネステ社が財政危機に陥りいいワインが造れない状態だった。 そんな失墜したシャトーを救ったのがメンツェロープス家(1977年に買収)。多大な投資を惜しまず、醸造コンサルタントの草分け、エミール・ペイノー氏を起用。見事マルゴーを甦らせました。そういった意味でも1969と1974ヴィンテージはマルゴーの不調期、そしてボルドーではオフとされる年。 1969:確かに明るいレンガに茶が入る色。香りは揮発香の中にもバニラやバターの溶け込んだ優しいブーケ。ただ、飲むと厚みはなく悲しいヴィンテージの味がしました。 1974:74年もやや果実感が弱く感じるのは仕方ないとしても、バランス良く優しくまとまったワイン。でもそれはそれでワインの伝統。私には美味しいと言える2本のマルゴーは、グラン・ヴァンとしてのバランスを十分に保っていると思います。 1981:1981年はエッジに赤みを帯び、若々しさと熟成を味わえたワイン。柔らかさのあるワインにハーブ、杉の清涼感か交じる心地よさ。さすがのマルゴー、タンニンも十分でまだまだ美味しい時期ですね。 1985:マルゴーを初めて飲んだのは、85年ヴィンテージ。偉大なワインなど知らなかった頃、その樽を感じさせるアロマと深みのある果実に驚きました。 1993:93年のマグナムボトル。「10年に満たない5大シャトーは飲まないほうがいい」なんてことを聞いたことがありますが、このマルゴーは違っています。鮮やかなルビー色はまだ若々しいのですが、すでに柔和なカシスやベリーの香り、豊かで包み込むような果実味、タンニンもすでに丸みを帯びコクを感じます。やはりこのワインはエレガントなスタイル、どこまでも優しい味わいは「ボルドーの女王」の風格。 1959:59年のマルゴー、及び関連記事はこちらへ (メドック格付け第1級 : Ch. Margaux) |
![]() ![]() Ch. Rausan-Segla シャトー・ローザン・セグラ マルゴー 赤 (CS61,M35,PV2,CF2) ('88 \19,800 1500ml) 1855年のメドック格付け第2級の中で、トップにランクされたシャトー。パーカー氏の「ボルドー」によると、60年代や70年代の不調の時代を過ぎ、80年代初頭の数々の改良により、その格付けに見合っただけの秀逸なワインを生み出しているということ。(新しい蔵の建設、ステンレス発酵槽の増設、新樽の増加、厳しい選別の強化など) また、1994年には、あのシャネルがこのシャトーを買収し、以降「Rausan」の綴りが「Rauzan」となっています。 | |
88年のマグナムボトル。パーカー氏は「最も内向的な.....筋骨隆々のワイン」という表現をされています。実際、快活な深いルビーレッドのワインは、凝縮感のある果実とミネラルと酸、豊かなタンニン分を含み、ワイン自体の旨みが出てくるのはこれからかな?と思ったほど。しかしながら、そのバランスはブルゴーニュにも似た「気品」を感じさせ、あと5年から10年という歳月を我慢すれば、もっと熟女の魅力を出してくれるのは、間違いなさそうです。 (メドック格付け第2級) |
![]() ![]() Ch. Brane-Cantenac シャトー・ブラーヌ・カントナック マルゴー 赤 (CS70,CF15,M13,PV2) ('73 \3,570)('78 \16,000)('97 \1,950 375ml) マルゴーACで、その名の通り、カントナック村にあるメドック格付け第2級。カントナック村のいいワインは、他に「シャトー・カントナック・ブラウン」や「シャトー・ディッサン」など、金色のラベルが洒落てます。 | |
1973:あるワインショップが上記の価格で売り出していたので、試してみました。確かにピークは過ぎてますが、そこまで悪い状態ではなかったように思います。ただ、酸化熟成したワインは余韻までシェリー様。古酒を飲みなれない方が飲むと「ただの酸っぱいワイン」? 1978:実は、あまり期待していなかった20歳のワインですが、その華やかな香気にびっくり。「これがマルゴーのいい所」って感じ。繊細で優美というマルゴーのイメージは強くはないものの、長命なワインだと思います。改めてマルゴーに興味をひかれる一本でした。 1997:抜栓直後にほとんど香りもたたず、余韻に異常なほどの乾きと辛さ(ドライ)を感じて?マーク。それが1時間後くらいには、レッドカラントの香りや甘さも出てきていい感じ。なんだか中華街にいるようなスパイス。これ中華料理と合わせたらワインの甘さも引き立って、美味しいかもしれないですね。 (メドック格付け第2級) |
Ch. Giscours ![]() シャトー・ジスクール マルゴー 赤 (CS,M,PV,CF) ('97 \4,000位) マルゴー中心部から南にやや離れたラバルドに240haもの広大なブドウ園を持つジスクール。1952年、タリ家がシャトーを所有して以来、格付け当時の評価及び内容を取り戻そうと努力し、蘇ったシャトー。しかしながら、近年「ウッド・チップを使った」等の違法行為が告発され、ケチがついた感のあるジスクールですが・・・ 鮮やかな紫の強いルビー色。分かりやすい黒果実にすみれのアロマ、そこに土のニュアンスがちらり。終始中庸からやや低めの酸味、美味しいミディアムボディのワイン。 (メドック格付け第3級 : Ch. Giscours) |
Ch. d'Issan ![]() シャトー・ディッサン マルゴー 赤 (CS75,M25) ('93 \7,000) マルゴーAOC、カントナック村に30haの畑、濠に囲まれた美しいシャトーを持つ、ディッサン。セカンド・ワインは、ブラゾン・ディッサン。また11haの畑からシャトー・ドゥ・カンダル(オー・メドック)やムーラン・ディッサン(ボルドー・シュペリュール)を生産しています。 クリスマスにディナーショーに行ったのですが、そこのワインが頂けなかった。ということで、2軒目のワインバーで飲んだのがこれ。ブルーチーズと一緒に...いけました。 (メドック格付け第3級 : Ch. d'Issan) |
1855年に行われたボルドーの格付けでは、第3級。しかし、長年にわたり、安定した品質のワインを造り続け、その人気、実力共に、第1級のシャトー同等に評価されています。いわゆる「スーパー・セカンド」の第1号。 | |
1967 : 67パルメの評判は以前からよく耳にしていました。ブラックベリー、ややスモーキーなブーケに旨味のある果実の素晴らしいバランス。1967はやっぱりバッドなヴィンテージではないですね。 1974 : ブラインドで出てきた74年と88年。明るい色調のルビー色。ただ色だけ見ると、そんなに古いワインのように思えない。プラム、ハーブのブーケと木樽、酸の多いアタックにやや弱く感じる果実と細やかなタンニンの余韻。焼けた石のニュアンスを感じる繊細なワイン。 1988 : 88年はボルドーでは良い年。さすがに若々しい深みのある暗いルビー色。これはボルドーブレンドと分かるカシスやプラムのアロマ。凝縮感がありながら、現時点では樽のロースト香が強く感じる辺りは、マルゴーのアペラシオン、そしてメルローを多く含む、このシャトーの豊かでふくよかな果実の特徴なのでしょう。 1993 : このワインは、メドックのワインに見られる比較的多目のタンニン、熟したプラムといった特徴を兼ね備え、確かに「ボルドーを頂きました」という感のある1本。バランスもとれたワインは、一緒に飲んだ方々からも「さすがパルメ」という声しきりだったのですが。。。確かに今飲んで美味しいワイン。ただ、パルメという名声のあるワインにしては、全体的な果実、深み、余韻、すべてに少し物足りなさが?と思ったのが正直な印象。ちょっと厳しいですが。 1978 : 78年のパルメとその関連記事はこちらへ (メドック格付け第3級) |
La Reserve du Genaral ![]() ラ・レゼルヴ・デュ・ジェネラル マルゴー 赤 (CS,M) ('93 \6,000位) マルゴー村の傑出したワイン、シャトー・パルメのセカンド・ラベルがこのレゼルヴ・デュ・ジェネラル。ここのセカンドは毎年造られるわけではないので、あまり見かけない貴重なもの。ワイン界の大御所、ヒュー・ジョンソン氏もある雑誌で「お薦めのボルドー・セカンド・ラベル」として挙げていました。名前にパルメの文字が出てこないので分かりにくいですね。でも98年ヴィンテージから「Alter Ego de Palmer」と名前が変わったようです。 実はこのワインは澱の部分しか飲めなかったのですが、それでも飲み頃を思わせる柔らかなブーケと、果実感はちゃんとあったように思います。あまり印象の優れなかった93年のパルメ(ファースト)よりこっちの方がお買い得かも? |
Ch. Desmirail ![]() シャトー・デミライユ マルゴー 赤 (CS80,M10,CF5,PV5) ('89 \5,400) メドック格付けシャトー(ブラーヌ・カントナック、デュフォール・ヴィヴァン等)を有するルシアン・リュルトンのシャトー。このシャトーも、1855年の格付けでは第3級にランクされながら、近年の評価はパッとしないのですが。 10年目のデミライユは、丁度飲み頃。熟成によるプラムを感じさせるブーケ、依然細やかなタンニンがワインを支え、この村で水準以上のワインである事を認識できます。値段の高い評判のよいブルジョワ級を選択するか、評価の低いお買い得な格付けシャトーを選ぶか?たまには、後者を選ぶのもいいかもしれません。 (メドック格付け第3級) |
Ch. Marquis de Terme ![]() シャトー・マルキ・ド・テルム マルゴー 赤 (CS55,M35,PV7,CF3) ('78 \5,270) メドック格付けであり、80年代以降の評価は持ち直しつつありながら、未だ知名度の低いワインの一つ。実はこの78年、あのR.パーカー氏の評価では「50点」なんと最低点。どんな味わいなのか興味が湧きます。1978年は天候に恵まれなかったにも関わらず、初秋の好天に救われた「奇跡の年」。 パーカー氏のコメントを引用すると「これは印象の薄いワインだ。汚れたような、カビ臭い、濁ったアロマから判断すると、手入れの悪いセラーなのだろう。口に含むと薄い味がしてカビ臭く、魅力もなにも無い。欠陥品だ。」 手厳しい評価ですね(笑)。確かにそういった感もあるのですが・・・ 色自体は全く問題なく見える綺麗なガーネット。まず感じるのは土。夕立のあとのホコリ。草の香り(やはりこれが不潔なイメージを含む)。確かに余韻の短さや、果実は平坦さには、いいイメージはありませんが、ワイン全体のまとまり、メドックを感じられるブーケに「50点」はちょっと可愛そう。 (メドック格付け第4級) |
![]() ![]() Ch. Labegorce シャトー・ラベゴルス マルゴー 赤 (CS50,M35,CF10) ('94 \5,500)('96 \5,500位) マルゴー村の堅実なブルジョワ級、ラベゴルス。このワインは何度飲んでもその強さに驚きます。乾燥イチジク等、甘くて赤いフルーツを感じるのですが、その味わい自体は凝縮感があり、余韻に渋みを伴う、しっかりとしたもの。マルゴーのワインというイメージにはならないのですが、これはこれで良いブルジョワ級だと思います。一度試して下さい。 (ブルジョワ級) |
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![]() ![]() Marojallia マロジャリア マルゴー 赤 (CS55,M45) ('00 \22,000) このワインを手掛けるのは、シャトー・シトランで働く父を持ち不動産業を営むポーショロン氏と、ヴァランドローの共同経営者でトゥヌヴァン氏の奥様ミュリエル夫人。マロジャリアの畑2.5haはル・テルトルとモンブリゾンの中間に位置し、以前はACマルゴーを生産していた前オーナーから、ポーショロン氏が1998年に畑を買い取り、ミュリエル夫人と共に更に高品質なワインを目指した。ミシェル・ローラン氏のコンサルタントのもと、夫人はヴァランドローで培ってきた経験を十分に発揮、25hl/haという低収量、フリーランジュースのみ使用し、新樽100%で18〜24ヶ月熟成。年産約6000本、1999年初ヴィンテージ。「マロジャリア」とは「マルゴー」のラテン語読み。 マルゴーに「ガレージ・ワイン」という言葉の響きは似合わないが、中身も既存のマルゴーとは一線を画している。熟したカシスにミルクコーヒーとスパイス。フリーランと分かる柔らかなアタックと浮遊感のあるシルキーなテクスチャー。オークが効いている分、現時点で果実がぼけて感じるのはご愛嬌。土地の味よりもテュヌヴァン、M.ローランという顔の見える近年の右岸スタイルだが、感覚的には最上級といわれるカリフォルニアにも近い。【D:2004 P:91】[Real Wine Guide Vol.5 掲載] |