July 1998

今月の御題目

”スーパー・セカンド”第1号、シャトー・パルメ

Ch.Palmer
シャトー・パルメ
マルゴー(カントナック村) 赤 (CS55,M45)
('78 \19,500)

 1855年に行われたボルドーの格付けでは、第3級。しかし、長年にわたり、安定した品質のワインを造り続け、その人気、実力共に、第1級のシャトー・マルゴーにつづくものとして評価されています。
 もし現在、ボルドーの格付け見直しが行われれば、必ず1級に昇格するであろうと目されるコス・デストゥルネルレオヴィル・ラスカーズピション・コンテス・ドゥ・ラランドなどをスーパー・セカンド(超2級)と呼んでいますが、この言葉が最初に使われたのが、このパルメです。
 ちなみに、ここのセカンドは、ラ・レゼルヴ・ドゥ・ジェネラル。毎年造られるわけではないそうで、私も未だにお目にかかったことがありません。

シャトー・パルメは、カントナック村にあるのにマルゴー?
 パルメの所在地は、オー・メドックに属するカントナック村にあります。本当なら当然アペラシオンも、オー・メドックになるはずなのですが。
 フランスのAOC法には、色々な細部にわたる特例があって、この場合、マルゴーの近隣にある、カントナックスーサンラバルドアルサックの4つの村で産出されるワインは、一定の条件を満たすものに限り、マルゴーを名乗れるそうです。

何かの理由にかこつけてワインを開けよう!
 このパルメ、個人的に所有していた物。早く飲みたかったのですが、これ位のワインになると、何かの理由がないとなかなか開けにくいですよね。
 ある日、ワイン会で知り合った友人達と来週ぐらいに飲みにいきましょうと話をしている所へ、いつもお世話になるワインバーのMさん(彼女はそこでアルバイトをしながらワインの勉強をしている、言わばソムリエールの卵)が、今度誕生日だという。
 早速、じゃあMさんの誕生日会も兼ねて、パルメを開けようと言う事に。

 78年のパルメを頂きながら...

 開けた後、みんな香りをみて、さすがにマルゴーらしい華やかな香り。
 その後、一口含んで、
Mさん 「すごく柔らかーい」
class30 「。。。。。」
Mさん 「やっぱりパルメですね。」
class30 「。。。何か違うんですよ」
Mさん 「実は、78のパルメ、先日飲んだんです。いいんですけど何か印象が薄いんですよね。今度は違うかと思ったのですが。」

 言いたい事をズバリ言ってくれました。このパルメ自体、本当に芯のある力強さ、それを取り囲むような優しい複雑な果実味、いいワインです。ただ、このヴィンテージ、そして世間の評価を考えると少し物足りない。そんな感じはしました。
 それから飲みながら、ああでもない、こうでもない。みんな飲むと面白いですね。
 それにしても、このMさん、本当に優しい人です。飲みきった後に、「やっぱりパルメは、パルメ。美味しいですよ、これ!

インポーター(輸入業者)の重要性
 実は、このワインを買う時に、気になった事があります。今、78年のパルメを買うと2万5千円前後するのではないでしょうか。Y酒店さんから購入した時に、「このパルメだったら、この値段でいいですよ。ただ、色と澱をよく見といてね。ここの業者、私はあまり信用してないから。」
 どんなワインでも、数社のインポーターが輸入をしています。パルメの場合でも5社以上が関わっています。そのワインをどんな業者が輸入したかという事は、他のお酒と違い、大変重要なポイントだと思います。その輸入ルート、保管状態、色々な面でその会社の姿勢が大切になってくるからです。
 本当にいいワインを飲もうと思えば、信頼できる酒屋さんや、ワインに詳しい人を見つけ、色々な情報を聞くという事も必要でしょう。
 実際、今回のパルメ、購入時から少し澱の量が多いのが気になっていたのが、正直な所です。

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class30 "The Wine"