France フランス
Bordeaux ボルドー地方



Medoc メドック地区
St-Julien サン・ジュリアン村


Ch. Leoville Las Cases
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ

サン・ジュリアン 赤 (CS65,M18,CF14,PV3) 
('74 \10,000位)('83 \23,000)
 レオヴィル御三家(レオヴィル・ラス・カーズ、レオヴィル・バルトン、レオヴィル・ポワフェレ)の中でも特に評価の高いスーパーセカンド。サン・ジュリアンの中でも北部に位置し、畑はシャトー・ラトゥールの南続き。サン・ジュリアン村の筆頭格です。
 1974:1974年のラフィットと一緒に頂いた同年のラス・カーズ。意外にもカシスの風味、厚みを残した果実は、熟成の頂点ながら凛とした姿を保っています。古酒の醍醐味、揮発香を漂わせながらワインの旨みと微細なタンニンを残すワインは、さすがのスーパーセカンド。
 1983:さすがに、素晴らしいワインです。トーストされたオーク、凝縮された果実は、カシスやミネラルを含みます。ただ強いインパクトはなく、おしとやかな感じがする。あくまでバランスよく気品を持ち合わせています。
(メドック格付け第2級)



Clos du Marquis
クロ・デュ・マルキ
サン・ジュリアン 赤 (CS67,M17,CF13,PV3)
('93 \5,000)
 サン・ジュリアン筆頭シャトー、ラス・カーズのセカンド・ラベル。特にこのクロ・デュ・マルキは、セカンドの中でも質の高さでは、評価のいいワイン。
ラス・カーズってこんな味なんだろうなという事が分かります。渋味と酸味のバランスのいいワイン。やっぱりセカンドはお得!


Ch. Leoville Poyferre
シャトー・レオヴィル・ポワフェレ
サン・ジュリアン 赤 (CS52,M28,CF12,PV8)
('83 \11,000)
 レオヴィル御三家(レオヴィル・ラス・カーズ、レオヴィル・バルトン、レオヴィル・ポワフェレ)。もともと他のレオヴィルと同じ所有者だったのが、分割されて現在の形に。近年は、あのミッシェル・ロランによる助言も受け、着実にメドックのトップ級へ。1982年には及ばないものの、良質で豊作だった1983年。今、飲み頃のワインも多いヴィンテージ。
 83年のポワフィレ。まさにこのメドック地区の良さを持つ流麗なワイン。東洋風のスパイスにカシスやプラムを思わす香り、樽の要素が溶け込み、やや乾いたタンニンが個性を与えます。しなやかなで、きめの細かなワインは心地よく、余韻に果実の甘味を感じられます。まだまだ成長を感じさせるワイン。
(メドック格付け第2級)


Ch. Leoville Barton
シャトー・レオヴィル・バルトン

サン・ジュリアン 赤 (CS70,M15,CF7,PV8) 
('79 \10,000)('88 \12,000)
 メドックの格付け第2級。このシャトーは、1855年の格付け以降所有者が変わらなかった3つのシャトーのうちの1つで、2世紀にもわたってアイルランド系のバルトン一族が所有しています。第3級のシャトー・ランゴア・バルトンと同じシャトー内で醸造されており、この2つのワインからセレクトされた物がレディー・ランゴアという名前でセカンド・ワインとして造られています。
 1979 : 非常にバランスのとれたワイン。79年物という事も手伝って、力強いタンニンにも丸みを感じ、ブドウ自体の質の高さを証明する、気品に満ちています。
 1988 : 10年以上経ちながら、まだまだ綺麗でやや深めのルビー色。サン・ジュリアンの個性とも言える土のニュアンス。カシス風のとてもしなやかな果実。やはり、酸味と渋味のバランスに優れた印象。
(メドック格付け第2級)


Ch. Gruaud-Larose
シャトー・グリュオー・ラローズ
サン・ジュリアン 赤 (CS65,M20,CF10,PV5)
( '78 \19,800)( '82 \18,000位)('92 \5,000位)
 サン・ジュリアン村のメドック格付け第2級。やや内陸部にあるこのシャトーは、全体132haのうち82haにブドウ樹が植えられています。しっかりした体格と濃密なワインを造ることで有名。
 1978 : 華やかで気品に溢れるお気に入りの1本。詳細はこちらへ
 1982 : ボルドー世紀のヴィンテージ、1982年。今まさに飲み頃にさしかかったというワインは、熟れに熟れた(悪い言葉で言えば腐りかけの)果実の香り。秀逸なワインらしく、土と酵母のニュアンス。豊かさを感じ全体的に柔らかみを帯びた美味しいワイン。やはりこのシャトーには、何か惹かれてしまいます。
 1992 : ボルドーでは難しい年となった1992年。最初、このワインはセカンド(サルジェ・ド・グリュオ・ラローズ)と勘違いして飲んでいたもの。セカンドにしては妙に美味しいなあと思っていたら、やっぱり違いました(笑)。
 1992のボルドーはあまり良い印象がなかったのですが、滑らかでミルキーな優しい香り。それでいて、ちゃんとハーブや土のノーズがあり、全体が心地よくまとまっていました。1992という年に、こんなワインが造れるなんて、素晴らしいと思います。
(メドック格付け第2級)



Ch. Ducru-Beaucaillou
シャトー・デュクリュ・ボーカイユ

サン・ジュリアン 赤 (CS65,M25,CF5)
('57 \35,000位)('66 \30,000位)('74 \14,000位)('75 \?)('76 \15,000位)('85 \13,000)('91 \6,300)
 サン・ジュリアンのベイシュヴィル村にある50haのシャトー。シャトー名は「美しい小石の畑」。その名の通り、小石混じりの土壌からオーナーである著名なボリー氏のもとで上品なワインを生み出します。
 1957 : 57年という古酒。それは決して驚愕するものでもなければ、深みのあるワインでもないでしょう。ただ、メドックならではの土の香りとヨード香、バニラがあり、甘味のある果実はビロードのように滑らか。酸味によるフィニッシュはエレガントで、古酒ならではのバランス感を持つ様に心奪われた一本。
 1966 : 期待していたヴィンテージではありますが、その扱いのまずさからか、状態はあまりよくなかったように思います。詳細はこちらで。
 1974 : このワインに関しては、澱が落ち着いていなかったため、正確には判断できませんでしたが、果実感、アロマ、やはりヴィンテージの小ささを感じてしまった一本。良好な状態で飲めば、印象は違ったかもしれません。
 1975 : 75年というヴィンテージの個性を感じるデュクリュ・ボーカイユ。75年は良いと言われながらもバランス的には難しいのかもしれませんが、このシャトーのイメージ通りのエレガントさ。土や杉のブーケ、やや多目のタンニンを持つワインは25年経っても強さと優雅さを兼ね合わせていました。
 1976 : これは好みのワインでした。印象に残る特徴は少ないものの、完全に熟して均整のとれたワインで「雨の降った後の中庭」といったしっとりとしたイメージ。美しいという言葉が似合うワインだと思います。
 1985 : 91年はヴィンテージのせいか、おとなしく感じて、印象が薄かったのですが、さすがに85年にもなると全く違います。酸味がスマートで、上品で優雅な女性を感じさせるワイン。香り、味わいともに優しさに包まれ、幸せを味わえる一本。あまりしっかりした物を好まない人でも、必ず気に入ってもらえると思います。
(メドック格付け第2級)


Ch. Lagrange
シャトー・ラグランジュ
サン・ジュリアン 赤 (CS66,M27,PV7)
( '89 \9,000)('94 \5,800位)
 1983年、サントリーがオーナーとなり、ボルドーの格付けシャトーの中で日本企業が初めて購入した例となったラグランジュ。もともとグリュオー・ラローズに隣接する畑は良い条件を持っていたと言われますが、経営陣の努力により、近年の評価はメキメキ上がっています。
 1989:10年以上も前のワインにして、エッジにも退色は見られず、輝きのあるルビー色のワインは、整った酸がこのワインを支えているようです。優しい土や杉のブーケ、タンニンも角がとれ、温和な果実味と調和するバランスの良いボルドー。今から本当に飲みごろだと思う美味しいワインです。
 1994:このシャトーの中でも珍しいくらい内向的な年(1994年は全体的にそういう傾向)らしく、実際その味わいは、ベリー系の風味にスパイスが混じるメドックらしい香りなのですが、収斂味がありタンニンの量が多め。これからどうまとまるか、興味のあるワイン、今は少し置いたほうが良さそうです。
(メドック格付け第3級 : Ch. Lagrange


Les Fiefs de Lagrange
レ・フィエフ・ド・ラグランジュ

サン・ジュリアン 赤 (CS,M,PV)
('94 \3,500)
 これは、上記のラグランジュのセカンドラベル。その色、アルコールのヴォリューム、味わい、すべて「これ94年?」と思うほど若々しく、清廉な感じがします。渋味や酸味の強さをアピールするタイプではないものの、その品質に対する実直な姿勢が感じられる、サン・ジュリアンらしいワイン。価格的にもお薦めの一本です。

Ch. Langoa Barton
シャトー・ランゴア・バルトン

サン・ジュリアン 赤 (CS70,M15,CF7,PV8) 
('83 \12,000)
 シャトー・レオヴィル・バルトンと姉妹シャトーで、1821年以来、バルトン一族が所有。畑もレオヴィルの隣に位置し、ぶどう品種構成もほぼ同じ。
 意外と目立たない存在で、話題にのぼらないシャトーなのですが、深く土を感じさせる香りに満足。確かに強いアタックはないのですが、芯がしっかりしながらも、包み込んでくれるような味わいは、サン・ジュリアンならではのものでしょう。83ヴィンテージのラベルは、今のものと少し違っていました。
(メドック格付け第3級)

Ch. Saint-Pierre
シャトー・サン・ピエール
サン・ジュリアン 赤 (CS70,M20,CF10)
('96 \6,300)
 メドック格付けのワインの中では、何故かとてもマイナーな感のあるサン・ピエール。82年以降はグロリアと同じ経営となっています。
 96年は当然、味わうには早過ぎるのでしょうが、深い赤紫から黒みを帯びたワインは、高めのアルコール香、ハーブや西洋杉というメドックらしい香り。ただ、まだ落ち着かない様子で、タンニンの多めのフィニッシュ。これでもう少し果実感があればよいのですが。
(メドック格付け第4級)


Ch. Talbot
シャトー・タルボ

サンジュリアン 赤 (CS66,M26,PV5,CF3)
('65 \?)('89 \9,000)('95 \5,800位)
 手堅く高品質なワインを生み出すことで知られるコーディア社所有の格付けシャトー。同じコーディア社所有のグリュオ・ラローズに隣接し、102haという広大な単一畑からワインが造られます。新樽は約40%。
 1965:恵まれたことに生まれ年のワイン。65年という最悪とも言われるワインですが、なんのなんの、シャンピニオン、ミルキーな熟成香。滑らかなアタック、柔肌の果実はふくよかささえありました。こんなバースディ・ヴィンテージが飲めた事に感謝です。
 1989:良質のぶどうから出来た事を証明するような、深みのある色。土のニュアンスのある香り。果実自体は思ったほど強くはないのですが、多めのタンニンがワインを形成しています。酸味が穏やかな分、しっかりと感じられるワイン。サンジュリアンらしいエレガントさよりは、しっかりした骨格を持ったワイン。でもこの村のワインはやっぱり落ち着きます。
 1995:メドックの良年1995のタルボは、甘さを含むカシス、ロースト香とタール、サンジュリアンの個性とも言われる腐敗酵母的な香り。フローラルな感じもあり、各要素に主張がありバランス感あふれるミディアムからフルボディの美味しさ。安心して飲めるコーディアのワインですね。
(メドック格付け第4級 : Ch. Talbot


Ch. Beychevelle
シャトー・ベイシュヴェル
サン・ジュリアン 赤 (CS60,M28,CF8,PV4)
('82 \12,000)
 ラベルに描かれた「帆を下げた帆船」。海軍提督でもあった公爵家がこのシャトーを所有していた時代、前を流れるジロンド河を行く帆船が、公爵に敬意を表して帆を下げたという逸話があるようです。当然シャトーはジロンド河に近く、サン・ジュリアン村の南端に位置します。1982年は誰もが認める世紀のヴィンテージ。
 まだ、若さをも感じさせる輝きのあるルビー色。ハーブや杉の香り、赤い果実は未だに精緻なタンニンと厚みを保っています。ようやく飲み頃を思わせるワインは、柔和なのに規律がある。ただただ美味しいワイン。
(メドック格付け第4級)

Ch. Lalande-Borie
シャトー・ラランド・ボリー

サンジュリアン 赤 (CS65,M25,CF10)
('90 \5,700)
 シャトー・オー・バタイエと同じく、上記のメドック格付け第2級のシャトー・デュクリュ・ボーカイユを所有するジャン・ユジェンヌ・ボリー氏のシャトー。18haというこの地区としては、こじんまりとした畑は、もともとシャトー・ラグランジュの一部だったという事。とても評判の良いワインなので期待していたのですが。。。
 酒屋さんで買ったその日に開けたこのワインは、どうやら、入荷後間もなかったようです。ワイン自体の味も判断できず、酸、タンニン、全てがバラバラ。多分これはワインのせいじゃありません、私のせいです。(それとも90年は良くないのかなあ?) 教訓:入荷後、せめて2〜3ヶ月はワインを休めてあげましょう。

|St-Estephe|Pauillac|St-Julien|Margaux|Haut-Medoc|

class30 "The Wine"