年末年始の営業のお知らせ

「四国は年末年始は休業でーす」
機材のメンテナンス、新規レンタルの発注等は師走の廿日までに注文された分は年内に対応いたします。
年始は十日より営業を開始いたします。

年末こそ必要なんじゃないの四国のお便利アイテム。
だが元就が年末年始だけはきっちり休むことは昔からなので、特に混乱も無く、休暇な元就は安芸に入り浸っていた。
だが元就が暇でも元親は政務である。
特に年末は忙しい。
もちろん、年始もだ。
人付き合いは大切だ、どんなに面倒くさくてもイラッとしても、当たり障りのない応対をして、一通りの儀礼の折は出席しなくてはならない。
そのあたり、四国はどうなってるんだ。

ちら、と。
書類をずらして、邪魔にならないように部屋の隅に転がっている元就を見る。
疲れているのか、そこに横になってからぴくりとも動かない。

四国は特殊な国だと聞いている。
国主こそ元就だが、彼女は四国の財政のために全国を飛び回っている時間の方が長い。
内政をしているのは彼女の弟ということで、だから年末年始にひょっこり元就が帰ってきても引き継ぎなりなんなりが面倒なので、旅行賃をつけて早々に四国を追い出されてしまうらしい。
やっぱ、いたらいたでそれなりに気を遣わないといけないし、国主がいるのに国主代理に国主の仕事をさせるのはいろいろとはばかりがあるということだろう。

…とかなんとかいい建前をつけていたが、単に元就が邪魔なだけという気もする。
いかんせん、彼女にとって大掃除とは右のものを左にもっていくことで、たまに蔵の大掃除でもしようものなら彼女がしゃしゃり出てくると仕事にならない。
去年までこれをどこで面倒見ていたかって、彼女の年末年始の居候先は織田だったというのだから驚きである。
蘭丸と遊んでいれば害はなかった、というのが魔王の嫁の説明だが、イマイチこののほほんとした女が織田に何日も居候していたとか想像できない。
大晦日に壊れた本能寺ストーブをもってって修理してもらった、って魔王の妹が言っていたから、つまり織田家は元就を置いておくことで年末年始の物入りの折を乗り切っていたに違いない。

その日の本一の便利アイテムを年末年始に自由に使える権利を得たのが今年は元親なのだが。
このありがたい生き物をどう扱えばいいのか…元親には見当もつかないのである。

大体、来てからずっと寝てるじゃないか。

「ぐがー…」
「ああもう、よだれ垂らしてきったねえなあ…」
ごろん、とひっくり返ったらば畳からにょーんと糸を引いた。


(2015/01/01)
短編にもならない一場面。本能寺ストーブってRTでよく見かけていたので気になりました。
お市さんは年末に織田にいったらば元就いたから、後からくる長政にストーブもってきてもらった…という感じで。