民事判例紹介・無過失事故判決






昭和41年、最高裁が業務上過失傷害罪被告の刑事過失責任を否定する理論としてはじめて採用した「信頼の原則」。当然のことながら、民事過失責任否定の理論として波及し現在に至っています。


過去の民事交通事件において、この「信頼の原則」を実質的に採用し、一方の事故当事者の過失責任を否定した判例の数は相当の蓄積があると思われますが、私の知る限り、この判例を収集して体系的にまとめた研究資料はいまだ存在していません。

かような、現況下、この「信頼の原則」理論を実質的に採用し100ゼロ判決を行った判例を中心に、このコ-ナ-では無過失判例を取り上げていきたいと思います。

一人での作業は、おのずと限界があります。みなさんのなかで、無過失判例に関する情報をお持ちの方はぜひお知らせください。多くのみなさんと、多くのデ-タを蓄積できればこれに勝る喜びはありません。

私は、基本的には、突然の飛び出し事故・停車状態からのいきなりの発進事故である
@民家車庫からのいきなりの飛び出し事故
A駐車場等の路外出入り口や信号機のない交差点直前での右折・左折のための停車状態からのいきなりの発進事故等
については、衝突された側にとって、事故回避不可能なよって事故回避義務の存在しない無過失事故だと考えています。

過去の判例において、かような事故態様における判例が存在しないのであれば、戦う姿勢のある弁護士とともに、新しい判例を作っていけばいいとさえ思っています。

不可能なことは誰が考えても不可能なんです。この原点に返ることこそが、保険業界の健全な発展のために、いま一番求められていることではないのか、私はそう考えています。









  






その1.バイクと軽四輪車の併進走行中の接触事故

その2.信号機のない丁字路交差点内に、優先道路進行中の車が進入した際、交差わき道で停車中の車が突然左折進入したことにより発生した事故

その3.信号機のない見通しのよい交差点内に、一時停止標識を無視して進入した加害車両と出会い頭に衝突した被害車両の責任を無過失とした地裁判決。

その4.信号機のない見通しの悪い交差点内で、一時停止違反の加害車両と衝突したタクシ-の過失責任なしとした地裁判決。

その5.信号機のない見通しの悪い丁字路交差点。一時停止の状態から右折のため急発進し交差点内に進入した加害車両と衝突した、優先道路直進中の被害車両に過失責任なしとした高裁判決。