事故概況
加害車両は交差点進入手前の地点でいったん停止したが、左前方の右折第三車が停車したのは、自分のために道を譲ってくれたものと思い、右前方の安全確認をまったくしないまま右折のために交差点内に急発進した結果、優先道路直進中の被害車両と衝突した。
判決(大阪高裁判決、H6.2.17、交通民27.1.4)
…右折車(注:第三車)が一時停止していた理由についても、直進する被控訴人車(注:被害車両)の通過のためではないかという思いを巡らすべきであり、その上で、通行方向である右方向の安全を十分確認してから発進すべきであるのに、控訴人(注:加害車両運転者)は、右折車が自己に道を譲ってくれたものと軽信して右方向の確認を全くしなかった点において重大な過失があったといわなければならず、
他方、被控訴人車の運転手長南としては、制限速度内で南北道路のセンタ-ライン寄りを走行し、自車の直進道路が優先道路であって、丁字型交差点の25メ-トル手前で右折車及び控訴人車の一時停止を確認したのであるから、当然控訴人車らが自車の通過を待つものと信頼したものであり、一時停止中の控訴人車が右前方の安全確認をせずに自車(被控訴人車)の直前を、突然急角度で右折を開始するという無謀な行動に出ることまでを予測すべき状況にはなかったいうべきであって、それゆえ、長南(注:被害車両運転者)が、控訴人の右の無謀な行動を予測できずに徐行しなかったとしても、一般通常の自動車運転者として、無理からぬものがあったといわざるをえず、したがって、長南には本件事故の発生につき何らの過失もないというべきである。