事故概要
Aがバイクで道路を直進中、前方約15メ-トルの横道から乗用車が頭を出し一時停車したので、その車を避けようとして、右方及び後方の安全を確認することなく、合図もせずにハンドルを右に切り、道路中央付近に進路変更をしたところ、後方からこのバイクを追い抜こうとして併進状態になっていた軽四輪トラックの左側後部に接触し、転倒して負傷した。
そこで、Aは、軽四輪トラックの運転者Sに対して民法709条により、その所有者に対して自賠法3条により損害の賠償を求めて、最高裁に上告した。
最高裁は、Aの上告を棄却して、以下のように判示した。
最高裁判決(昭43・9・24)
追抜態勢にある車は、特別の事情のないかぎり、併進する車が交通法規に違反して進路を変えて突然自車の進路に近寄ってくることまでも予想して、それによって生ずる事故の発生を未然に防止するため徐行その他避譲措置をとるべき業務上の注意義務はないものと解するのが相当である。
したがって、本件事故はいつに上告人の過失によって生じたもので、被上告人Sの過失によって生じたものではないといわなければならない。
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