事故概要
見通しの悪い住宅街信号機のない交差点。被害車両であるタクシ-運転者は、交差点進入直前で加害車両を発見したが、停車するだろうとの予測のもとに、時速20キロで減速することもなく交差点内に進入したところ、タクシ-の後部に加害車両の全部が衝突し、その衝撃で、被害車両は左後部を右に振られて左前方に進行し交差点前方左角の電柱に衝突して停車した。
判決要旨<H5.4.23岡山地裁判決・交通民26.2.521>
本件事故は、専ら被告(加害者)の一時停止義務違反、交差道路に対する安全確認義務違反に帰せられるべきものというべきであるところ、他方、原告(被害者)の側にも被告(加害者)運転の加害車両が当然一時停止するものと思い込み、そのまま通行してしまった点に落度がないとはいえないが、
原告(被害者)運転の被害車両が先に交差点に進入している事情に加え、衝突後被害車両の後部が右に振られていることに鑑みると、加害車両はかなりの速度で進行してきたものというほかなく、これにより衝突の衝撃が強大化され、原告の傷害の程度を大きくし、その長期にわたる入通院及び後遺障害を来たしたものと確認できる事情をも合わせ考慮すると、原告(被害者)の落度はごく僅かなものであり、これを理由に過失相殺するまでのことはないものというべきである。