事故状況

事故現場は、周囲が田で、両車間相互の見通しを妨げるものはなにもないきわめて見通しのよい交差点である。
普通乗用車を運転する被害者Aは、事故交差点の約100メ-トル手前から、左斜め方向にB運転の加害車(普通貨物自動車)が進行してくるのを認めていたが、加害車の道路に一時停止の道路標識があることを知っていたために当然一時停止をするものと考え、減速することなく時速30キロで交差点内に進入したところ、制限速度である時速40キロで一時停止せず交差点内に進入した加害車の右側面に被害車の前部が衝突した出合頭事故。



加害者Bの主張

当方には、時速40キロで交差点を直進通過しようとしたこと。また右方道路より接近中のA運転の車を発見しなかったことに過失があることは認める。

しかし、交差点の手前8メ-トルの地点で一時停止標識に気づいたが、交差点の至近であったため減速することなく進行したところ、直後にA車を発見したが、その直前を通り抜けることのほうが衝突を避けることができるものと判断しそのまま進行したものである。

Aは事前に本交差点の存在を知り、当方の接近を発見していたのであるから、徐行ないし減速させ、非常時には交差点手前で停止する等の措置をとるべきであったにもかかわらず、相手車が道路標識に従って一時停止するものと安易に速断し進入してきたのであるから、Aにも過失があり、その程度は40%である。



判決(昭56.5.29 前橋地裁判決)

被告(加害者B)は過失相殺を主張するけれども、被告車が道路標識に従って一時停止をしたならば本件事故の発生を避けることができたものであることは、前示の事実関係に徴し明らかであるところ、原告(被害者A)は、被告が右標識に従わない違法の運転をすることなく一時停止をするものと信頼して原告車を進行させたのであるから、過失があるとはいえず、右被告主張は理由がない。