COLUMN(コラム)


 耐震(診断と設計)

地震大国の日本ですが、南海トラフ地震や首都直下型地震などの巨大地震の発生が懸念されています現在、改めて防災意識が高まっています。

住まいの耐震性にも注目が集まっているので、耐震診断や補強工事に携わってる建築士として住まいの耐震化の最初のステップ、耐震診断について説明します。
     
  


    ■ 耐震診断            

   耐震診断とは、既に建っている建物の強度を調べ、今後に起こりうる地震に対する耐震性を計算し、建物の被害の程度を数値的に把握する作業のことを言います。

 木造住宅では、1981(昭和56)年以前に建っている旧耐震規制の住宅は、多くの自治体が、耐震診断費用や耐震改修工事費に補助金を出しています。
 


    ■ 耐震診断法            

   耐震診断には、「一般診断法」と「精密診断法」があります。

 一般診断法

現場の調査は、外観(屋根、雨樋、軒裏、外壁、基礎等)
と内観(内装、小屋裏、床下等)を目視で調査をします。

基本的に調査は、「非破壊調査」です。調査には建築当時の図面等があれば調査はスムーズですが、古い家の場合は図面や資料を紛失している場合が多いため、柱心の寸法などを計り、新たに図面を起こします。

また、家主への聞き取りと建築時期などを手掛かりに家の
保有耐力を推測します。現場調査は約2時間程度です。 

一般診断法は、木造の住宅を診断する方法として使われており、多くの自治体で診断に掛かる費用の一部、若しくは全額を助金を出している診断法になっています。            

 精密診断法

一般診断法が現地調査が目視が中心であるのに対して、精密診断法は必要に応じて壁や天井を剥がして内部の構造を確認するより詳細な診断をする「破壊調査」です。

破壊した箇所は、後日に点検口を付けたり補修して塞いだりしますが、何か所を破壊するかは現場に依ります。

調査には、解体道具や鉄筋探知機など多くの機械類が必要で、調査時間も丸1日程度はかかります。現場に依ると2日に分けたりもします。                    
精密診断は、木造では学校や集会所などの公的な建物や鉄筋コンクリート造、鉄骨造の建物を調査することが多いと思います。                  


 ■ 耐震診断を受けよう  

 

 誰でもできる「わが家の耐震診断」

 行政から「耐震診断を受けましょう」と言われても、なかなか「ハイ、そうしましょう」にはならないと思います。そこで、専門知識がなくても簡単に、自宅の耐震診断をすることができるものを紹介します。

一般社団法人 日本建築防災協会が、『だれでもできるわが家の耐震診断』です。

この診断は、住んでいる人が、ご自身で住宅の耐震診断を行い、住宅がどのようなところに地震に対する強さ、弱さのポイントがあるかなどが分かるようにできています。
問診は10問ですので気軽ですので、試して下さい。

    
<問診表>   
 建てたのは、1981年6月以降ですか、1981年5月以前ですか
 床下・上浸水、火災、車の衝突など大きな災害に見舞われたことがない
 増築した際に、建築確認などの手続きを行った
 傷んだところがない。傷んだところは補修をしている。
 建物の平面形状は、正方形、長方形などシンプルですか
 2階建て以上で、一辺が4m以上の吹抜けがある
 1階と2階の壁面は一致しますか
 壁の配置、特に1階の外壁はバランスが取れていますか
 屋根材の重さはどうですか、瓦などは重いので揺れには不利になります
 基礎の形状はどうですか、鉄筋が入っていたら理想です。

    <解説> 
1981年6月に建築基準法が改正され、耐震基準が強化されました。
1995年阪神淡路大震災のおいて、1981年以降に建てられた建物の被害は好きなかったことが報告されています。
床下・上浸水、火災、車の衝突、大震災、崖上隣地の崩壊などの災害に遭遇しわずかな修復だけで耐えたきたとしたらならば、外見からではダメージが蓄積している可能性があります。
新築の際には、建物の審査(建築確認)を行っているが、増築時にはその手続きが行われていないことがあり、柱や壁を撤去しても適切な補強がされていないこともある。耐震的には弱点となる。
家に大きな痛みがないとしても、外壁のひび割れから水が浸入し腐食をしているとか、シロアリ被害があるなどで耐力の影響を調べます。
建物の平面形状が複雑だと、地震時の揺れが複雑になります。建物の細い箇所に揺れが集まり、思わぬ被害が出ることがあります。
吹抜けは部屋に広がりを持たせ、豊かな空間を演出してくれますが、広い吹抜けは床構造がないので、耐震性は落ちます。
これは少し建築の専門性がいるかも知れません。1階と2階の壁面が同じ位置にあるかを調べるのですが、重要なのは、2階の外壁のしたに、柱があるかどうかです。
一般的には南側は窓を多くし、北側は小さな窓になっている家が多いと思います。しかし、南側の外壁は少なく、反対に北側は多くなります。これは耐震面ではバランスが悪い判定になります。
瓦などの重い屋根材を使っていても柱が多いと丈夫な建物ですが、和風の建物は柱が少ないので、耐震性も低いことが多いです。近年は耐震性が高い軽い屋根材(スレート、金属製など)が多くなっています。
1990年代以降に建っている住宅では、基礎に鉄筋は入っていると思いますが、1980年以前の建物は気になります。典型的な農家住宅は、玉石基礎といって、耐震的には不利な基礎です。 

     ここにアクセスして下さい。    →  一般社団法人 日本建築防災協会 
     耐震度のチェックが受けられます。(無記名でアンケートもありません、安心してどうぞ。


 木造住宅耐震診断事業

   1981(昭和56)年5月以前に着工した築30年以上の木造住宅の耐震診断は、
  愛媛県の補助事業になっています。

     詳細はリーフレットをご覧ください →  愛媛県 耐震診断のリーフレット 

     耐震診断の申し込みはこちら    →  愛媛県 耐震診断の申し込み