独断的JAZZ批評 831.

ROBERT BALZAR TRIO
オーディオ・ファンにも聴いてもらいたいアルバム
"DISCOVER WHO WE ARE"
JIRI LEVICEK(p), ROBERT BALZAR(b), JIRI SLAVICEK(ds)
2013年4月 スタジオ録音 (RKBC 1032013001)


以前紹介したROBERT BALZAR TRIOのアルバム"OVERNIGHT"(JAZZ批評 590.)ではピアノにSTANISLAV MACHAが参加していた。MACHAの好演もあって、通り過ぎていく一陣の風のような爽やかなアルバムに仕上がっていた。
本アルバムではピアノが若手のJIRI LEVICEKに交代している。
リーダーのBALZARは1962年生まれのチェコのベーシストだ。チェコと言えば、MIROSLAV VITOUS(JAZZ批評 159.)やGEORGE MRAZ(JAZZ批評 550.)、VIT SVEC(JAZZ批評 126.)などの名ベーシストを輩出している国で、皆、クラッシクの薫陶をたっぷりと受けている。

@"DISCOVER WHO I AM" 緊迫感のあるイントロで始まるが、テーマは可憐で聴き易い。LEVICEKは1984年生まれの29歳。音も切れていてなかなかいいね。BALZARが流石のベース・テクニックを披露している。
A"SNOW IN THE BACKYARD" 
LEVICEKの書いた美しいバラード。こういうの聴いていると気持ちが和むし、また聴き返したいと思ってしまう。センスの良いヨーロピアン・テイストのバラードを満喫されたい。
B"EVENT HORIZON" 
若手のLEVICEKのピアノはベテラン相手に臆することがない。この外連味のなさがいいね。
C"HOPE (FOR YOUR SOUND NO. 3)" 
ベース・ソロ。アコースティック・ベースの箱鳴りした素晴らしい音色だ。4分20秒にも及ぶが飽きさせることはない。録音エンジニアはJAMES FARBER、名うてのエンジニアである。流石だ!
D"ZIVY" 
これまた、ベース・ソロが40秒ほど続く。このソロと後に始まる哀愁を帯びたテーマとの関連性が分からない。まるで別物という印象をもってしまう。
E"JUST FOR HER (FOR CLAIRE)" 
今度はボサノバ・タッチ。ピアノの音色が瑞々しい。スティックとブラシを使い分けるSLAVICEKの細かい配慮も見逃せない。最後に用意されたドラムのソロも素晴らしい音色だ!
F"DAY OFF" 
3者がハードに盛り上がる。
G"NEVER BEFORE (FOR K)" 
3者のアブストラクトなインタープレイで始まる。幻想的なテーマから徐々にテンションが高まっていくその様がいい。効果的なドラミングとベース。それに乗ってピアノがクールに熱く高揚感を増していく。10分に及ぶ長尺だが聴き応えあり。録音の良さと相まって素晴らしい緊迫感と躍動感を生み出している。これはいいね。堪らんわい!

ジャズ・ミュージシャンから絶大な信頼を得ている録音エンジニア・JAMES FARBERの手になる録音が素晴らしい。一つ一つの楽器の持つ能力を見事に引き出していて、生き生きと鳴っている。特に、ベースの音色はアコースティック・ベースの魅力を遺憾なく再現している。この音色だけでもこのアルバムの価値を感じる。出来れば、良いオーディオ装置で大音量で聴いてもらいたい。
加えて、演奏も素晴らしいものだ。全8曲の中に、いわゆる、スタンダード・ナンバーというものがない。それゆえ、じっくりと聴き込んで欲しいアルバムでもある。
各楽器の音色、バランスとも素晴らしく、オーディオ・ファンにも聴いてもらいたいアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2013.11.03)

試聴サイト : http://ww
w.cdbaby.com/cd/robertbalzartrio3
          https://myspace.com/robertbalzartrio/music/album/
discover-who-we-are-19252266




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