独断的JAZZ批評 126.


このベースは凄いぞー!
"FROZEN DROPS"における飛び切り上等な
スロー・ワルツの躍動感を堪能してほしい
"TRIO '02"
MARK AANDERUD(p), VIT SVEC(b), PAVEL RAZIM(ds)
2001年スタジオ録音(ARTA F1 0116)

これも、HMVの試聴で購入した1枚。
最近、ピアノ・トリオのブームも手伝って、無名の新人発掘的な紹介コーナーがあったり、マイナーレーベルの紹介コーナーがあったりして、ここから掘り出し物を見つけることが出来るようになった。そうした中から見つけた1枚。
同時に試聴した"TRIO '01"はメンバーが全然違う。ベースがNG。これはお奨めしない。

このCD"TRIO '02"はどのメンバーも初めて聞く名前ばかり。ピアノはMexico Cityの生まれだし、ベースはPrague(チェコ)、ドラムスはRokycany,Bohemia(チェコ)だし、東ヨーロッパ+メキシコといった面白い組み合わせになっている。全曲、ピアノのAANDERUDのオリジナル。美しいバラードあり、元気の良いサンバありで楽しませてくれる。

このベースは凄いぞー!
先ずは黙って5曲目の"FROZEN DROPS"を聴いていほしい。この曲だけのために購入しても損はないと思う。美しいスロー・ワルツのバラード。叙情的といえばその通りだが、躍動感がある。ピアノのイントロに続くテーマではアルコ弾き、アドリブではピチカート。
JAZZにアルコというのはなじまないと思うだが、こういったスローバラードでのアルコというのはいいものだ。とにかく暖かくふくよかな音色がゾクゾクさせてくれる。続くピチカートでは力強いビート感とともに、バラードでも必要な躍動感を堪能させてくれる。スローバラードといえども「JAZZは躍動感がなくてはJAZZとは言えない」と思っている。更には、ソロでの歌いっぷりも良い。
流石に東ヨーロッパのベーシストはクラシックの薫陶を受けており、正確な音程とふくよかなアルコ弾きの音色は折り紙つきだ。

ピアニストはメキシカンだが、全曲を作曲した才能といい、歌心といいなかなかのピアニストだ。サンバで陽気な一面を見せたかと思うと、バラードでしっとりと歌うあたりは流石だ。
3人ともなかなかの役者揃いといえる。

@"PROLOGUE" このピアノ・ソロを聴いたとき、BRAD MEHLDAUの"ELEGIAC CYCLE"を思い浮かべた。
A"DARK PLACES" モーダルでありながらスウィンギーな熱っぽい演奏。
B"NEW MORNING" ベース・ソロがフューチャーされている。よく歌うベースだ。
C"JUST LIKE HOME" エンディングはドラムスが喧しい。

D"FROZEN DROPS" 美しくもスローでの躍動感が素晴らしい。
E"SONG FOR MALIKA" 民族民謡のような曲。ベースがイケルネ。
F"SAMBAMBA" 中南米を思わせる明るく調子の良い曲。
G"THREE FOR KENNY" モーダルなワルツ。力強いベースのウォーキングが印象的。

H"BUENOS DIAS CON SAMBA" ちょっと一休み、軽く行こう。ノリノリの楽しさ。決してチープではない。
I"EPILOGUE" 最後を飾るに相応しいピアノ・ソロ。もちろん@の続き。

このピアニスト、BRAD MEHLDAUを彷彿とさせる一面があるかと思うと、陽気なサンバを弾いてみたりで、なかなか多彩な人である。そして、バックアップのベースが素晴らしい。
Dの飛び切り上等なスロー・ワルツの躍動感を堪能してほしい。
この1曲の価値で「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。           (2003.03.15)



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MARK AANDERUD