独断的JAZZ批評 788.

GIANLUCA LUSI / JOEL HOLMES
30歳代の若手の二人がチャレンジした好演盤
"LOOSE"
GIANLUCA LUSI(sax), JOEL HOLMES(p)
2012年3月 スタジオ録音 (TOSKY : TAK008)


サックスとピアノのデュオ。デュオっていうフォーマットは結構好きだ。
ベースとピアノでも良いし、サックスにピアノ、トランペットにピアノ、ギターにピアノ、ピアノとピアノ。珍しいところではトロンボーンとピアノなんていうのもあった。
この二人は初めて聴く。GIANLUCA LUSIは1975年生まれのイタリアのマルチ・リード奏者。ソプラノ、アルト、テナー・サックスのほかにクラリネット、フルートなんかもレパートリーにあるらしい。
対する、JOEL HOLMESはアメリカの若手ピアニスト。1982年12月生まれというから未だ30歳になったばかりだ。

@"RENEE" 肩の力の抜けたリラックスした演奏だ。滑らかで優しいソプラノ・サックスの音色が実に心地よい。コンビネーションもいいね。LUSIのオリジナルで息子さんに捧げた曲らしい。
A"NEW BIGINNINGS" 
今度はHOLMESのオリジナル。じんわりと熱を帯びていくのが分かる。HOLMESのキレの良いピアノプレイが印象的だ。
B"LOOSE" 
美しいフリー・テンポのバラード。
C"FATIMA" 
リズミックな躍動感あふれるテーマ。HOLMESの躍動するバッキングがとても良い。この人のピアノ・トリオを聴いてみたいと思わせる演奏だ。
D"DEL SASSER" 
益々、バッキングでのピアノの躍動感が増してきた。ベース・ラインを左手で弾くようになると、これは堪らない。この曲の作曲者はベーシストのSAM JONESのようだ。ここでのLUSIはアルトをバリバリ吹いて良いと思う。
E"STARDUST" 
スタンダード、一発。スモーキーな味わいのあるアルトがソウルフルに歌っている。ああー、アルコールが欲しくなる!
F"NEXT STOP" 
これと次の曲はLUSIのオリジナル。フリー・テンポのバラード。
G"NEXT START"
 この曲ではテナーを持っているのかな?これもフリー・テンポのバラードなのが残念。もっと躍動感豊かにバリバリ吹いてほしかったなあ。

僕の中では、サックスとピアノのデュオというと、STAN GETZとKENNY BARRONの"PEOPLE TIME"(JAZZ批評 231.)やGEORGE ROBERTとKENNY BARRONの"PEACE"(JAZZ批評 147.)をいの一番に思い浮かべてしまう。最近では、KENNY WERNERとJENS SONDERGAARDの"A TIME FOR LOVE"(JAZZ批評 509.)やALAN BERNESとDAVID NEWTONの"INSIDE OUT"(JAZZ批評 768.)というのもあった。結構、名盤と呼ばれるものが多い。
このアルバムは30歳代の若手の二人がチャレンジした好演盤と言えよう。素性のとても良いアルバムだと思う。全体にバラード系が多く、これはサックスのLUSIが目指したものらしい。
このアルバムを機会にピアニストのHOLMESのピアノ・トリオがないかと探してみたら、22歳の時のアルバム"ETERNAL VISION"が見つかった。近いうちにレビューしたいと思う。   (2013.01.29)

試聴サイト : https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=4BRcrwN2qko
         http://www.cdbaby.com/cd/gianlucalusi



.