独断的JAZZ批評 789.

NEW YORK STANDARDS QUARTET
「ライヴ・ハウスに立ち会った人が一番幸せだった人」
"LIVE AT LIFETIME"
TIM ARMACOST(sax), DAVID BERKMAN(p), 安ヵ川大樹(b), GENE JACKSON(ds)
2012年6月 ライヴ録音 (D-MUSICA : DMCD 23)


D-MUSICAの第23弾。
グループ名の如く「ニューヨークからやってきたスタンダードを演奏するグループ」である。ARMACOSTとBERKMAN、JACKSONの3人に各国の選りすぐりのベーシストを加えたカルテット。その都度、ベーシストが異なるカルテットでもある。
ARMACOSTもBERKMANも中堅どころのアメリカのプレイヤー。JACKSONはかつてHERBIE HANCOCKのグループでも活躍し、日本にも馴染みが深く、日本人プレイヤーとの共演アルバムも数多い。僕もライヴで何回か聴いたことがある。パワフルでキレのあるドラミングが印象に残った。
今回、このNEW YORK TRIOは日本に来て、日本を代表するベーシストとして安ヵ川を指名したという。静岡市にあるジャズ・ハウス"LIFETIME"でのライヴ盤。ライヴでの熱気そのままをCDが捉えている。

@"SWEET AND LOVELY" フリー・テンポのインタープレイで始まる。テナー、ピアノ、ドラムス、ベースの順に合流してきて、次第にイン・テンポに。BERKMANのハイテンションなピアノに続きテナーがソロを執る。ARMACOSTのテナーはどちらかというと端正なテナーだ。続いて、安ヵ川が良く歌うベース・ワークを披露している。この時点でオーディエンスの歓声が凄い。
A"FOR HEAVEN'S SAKE" 
今度はしっとり系バラード。
B"GIANT STEPS" 
アップ・テンポの4ビートでグイグイ進む。ここではJACKSONのドラム・ソロも用意され、ご機嫌に暴れている。
C"NEFERTITI" 
D"THE TURNAROUND" 
ミディアム・テンポの気怠くてブルースフィーリングたっぷりに歌っている。
E"HIDDEN FONDNESS"
 BERKMANのオリジナルとは書いてあるけど、どっかで聴いたことがあるような・・・。アップ・テンポで4ビートを刻み出すとモーダルな演奏にシフトしていく。このBERKMANのピアノは一音一音にキレがあっていいね。

往々にして、小さなジャズ・ハウスでのライヴ録音は、オーディエンスとプレイヤーのテンションが既にして高まっているので、CDを聴く側もテンションを高めてから聴くのが正解だろう。手っ取り早いのが一杯飲みながら聴くことだ。選曲もライヴ受けしそうな有名曲ばかりだし・・・。因みに、COLEMAN HAWKINS, JOHN COLTRANE, WAYNE SHORTER, HANK MOBLEYの曲がずらりと並んでいる。
この手のハイテンションなライヴはジャズ・ハウスで聴くものであって、家でライヴ盤CDを聴くものではない。特に、このCDのようにプレイヤー以上にオーディエンスがハイテンションにある場合は余計にそういう感を強くするね。「ライヴ・ハウスに立ち会った人が一番幸せだった人」ということ。   (2013.02.03)


試聴サイト : http://www.d-musica.co.jp/release/23.html



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