独断的JAZZ批評 780.

ALEX RIEL SPECIAL QUARTET
「よかかりし時代のよかかりしジャズ」を復元したような・・・
"FULL HOUSE LIVEE AT JAZZHUS MONTMARTRE"
GEORGE ROBERT(as), DADO MORONI(p), JESPER LUNDGAARD(b), ALEX RIEL(ds)
2010年9月 ライヴ録音 (STORYVILLE : 1014276)

このアルバムは、ドラマーのALEX RIELの70歳を祝うスペシャル・カルテットのライヴ盤だ。RIELは言うまでもなくヨーロッパ、いや、世界を代表するドラマーと言っても過言ではあるまい。
そのRIELがメンバーに選んだベーシストは、長き盟友のLUNDGAARD。このコンビはピアニストJAN LUNDGRENのアルバムで多くの傑作を残している。"CONCLUSION"(JAZZ批評 185.)や"A SWINGING RENDEZVOUS"(JAZZ批評 433.)はそうした一枚。
ピアニストはイタリアのDADO MORONI。TOM HARRELLとのデュオ・アルバム
"HUMANITY"(JAZZ批評 546.)が印象深い。
アルトはGEORGE ROBERTで、PHIL WOODSを師と仰ぐプレイヤーだ。KENNY BARRONとの共演アルバム"SOUL EYES"(JAZZ批評 174.)や"PEACE"(JAZZ批評 147.)が絶品だった。
いずれ劣らぬ猛者が集まったわけだから、聴く前から期待感が昂揚していく。

@"JUST FRIENDS" 心地よい4ビートを刻みながらズンズン進む。のっけから熱い演奏だ。ドラマー、RIELがリーダーで、しかも、70歳の記念ライヴという点からもドラミングがより強くフィーチャされるのは当然と言えば当然。少々ドタバタとうるさいのが玉に瑕だ。
A"BODY AND SOUL" 
一転して、スタンダードのバラード。艶やかなROBERTのアルトがいいね。RIELはブラシを持っている。
B"IMPRESSIONS" 
J. COLTRANEの曲。モーダルな演奏でこのアルバムの「圧巻」 LUNDGAARDのベース・ワークがよく効いているので演奏に揺るぎがない。ROBERTが師と仰ぐPHIL WOODSばりのアルトが炸裂する。12分と24秒。
C"CHIMING IN" 
RIELのソロ
D"LIKE SOMEONE IN LOVE" 
こういうスタンダードを演奏してくれるとオーディエンスは喜ぶだろうな。このアルバム最長の14分と42秒。長尺でも長尺と感じさせない濃密さがあるね。進むほどにテンションがどんどん高まっていくのが分かる。このハウス・モンマルトルは木製の舞台なのかなあ?バス・ドラの音に締まりがない。
E"OLD FOLKS" こういう曲が入っているのも嬉しいね。アルトとベースのデュオで始まる。こういう曲を吹かせるとROBERTのアルトは天下一品だ。
F"SANDU" 
絵にかいたようなハード・バップ。ここではMORONIの真骨頂ともいうべき饒舌なピアノ・プレイが聴ける。続くLUNDGAARDのアルコもグルーヴィ!

ハード・バップの王道を行くライヴであることは間違いない。往年の「よかかりし時代のよかかりしジャズ」を復元したような・・・。願わくば、大音量で聴かれることをお勧めしたい。
この記念ライヴはYouTubeなどの映像をみると9月10日からあったようで、このアルバムの演奏が9月12日。もしかすると、最終日かも知れない。
ジャズの世界では70歳と言っても驚くにはあたらない。40、50歳は洟垂れ小僧と言われるくらいだから。あと10年以上はRIELにも現役で活躍してほしいと願いながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2012.12.07)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=vbeWKyFog_U&feature=relmfu



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