独断的JAZZ批評 781.

JEAN-PAUL BRODBECK
これではキースやメルドーに失礼ってもんだ
"A DIFFERENT MIND"
JEAN-PAUL BRODBECK(p), BEN STREET(b), JOCHEN RUCKERT(ds:@ACDGJK)
JOJO MAYER(ds:BEFHI)
2012年4月 スタジオ録音 (ENJA : MZCE-1260)

本アルバムの謳い文句に「キース・ジャレット、ブラッド・メルドーに続く新世代ピアニスト、ジャン・ポール・ブロードベックの鮮烈な本邦デビュー・アルバム」とある。更には「ジャズからクラシック、そしてヒップ・ポップまで消化した」とある。
そうか!キースとメルドーに続くピアニストなら、これは期待できそうだと思い購入したアルバムだ。ブロードベックは1974年、スイスのバーゼルに生まれ、スイスのジャズ・シーンで活躍してきたが、今年の4月にニュー・ヨークでこの録音を行っている。現在、38歳。
全ての曲がブロードベックのオリジナル。

@"MORGENLUFT" 
A"THE WHEELS TURNING AGAIN" 
B"SOUL JUNGLE" 
C"SERIOUS INTENTION" 
高速4ビートを刻んでも醒めている。
D"EVERY YEAR, THERE" 
E"L. E. S." 
F"RITUAL" 
G"STATION OF LIFE" 
H"A DIFFERENT MIND" 
I"NOT FAR" 
J"DO-REI-MI" 
K"NORFOLK"
 どの演奏も中音域が主体でメリハリとかダイナミズムが欠如している。ついでに言うと、熱っぽさとか迫力も不足しているので、どの演奏も似たように聴こえてしまう。

売る側の気持ちとしては「馬子にも衣装」ということでキースやメルドーの名前を入れて箔を付けたいところなんだろうけど、こういう姿勢はいただけないね。キースやメルドーとは似ても似つかないし、これではキースやメルドーに失礼ってもんだ。
やっているピアノ・プレイも中音域ばかりで平坦でダイナミズムに欠けるし、熱っぽさも伝わってこない。何よりも、全てをブロードベックのオリジナルで占めた楽曲が良くないね。こういうのを独りよがりっていうだよね。曲が悪いからアドリブもつまらない・・・そういう感じ。
それと、どういう音楽をやりたいのか、全然わからない・・・と、まあ、散々なわけなんだけど、キースやメルドーの名前を引き合いに出した以上、比較されるのはしょうがないでしょう。
売る側の宣伝文句に惑わされてはいけないってことだね。   (2012.12.09)

試聴サイト : http://www.catfish-records.jp/product/15303



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