熱気と高揚感溢れるライヴ
三食抜いても聴いてみたい
"SOUL EYES"
GEORGE ROBERT(as), PHIL WOODS(as), KENNY BARRON
(p), RUFUS REID(b), ALVIN QUEEN(ds)
2000年5月 ライヴ録音 (MONSRECORDS MR 874-361)

"PEACE"(JAZZ批評 147.)で素晴らしい演奏をみせたGEORGE ROBERTの新譜の登場である。前回のアルバムではKENNY BARRONとのコンビネーションも最高で濃密で薫り高いアルバムに仕上がった。今回は更に師と仰ぐPHIL WOODS(JAZZ批評 52.)やスイスで活躍するドラマーALVIN QUEEN(JAZZ批評 143.)も加わったクインテットの演奏だ。因みにこのアルバムはスイスのローザンヌで録音された。これは聴かずにいられない!

このアルバムはROBERTの奥さんと家族に捧げられている。ジャケットの瞳は誰なのか気になっていたが、どうやら奥さんらしい。


@"ALONE TOGETHER"  アルトサックスの2管編成であるが、スピーカーの少し右側から聴こえるのがGEORGE ROBERTで、少し左側から聴こえるのがPHIL WOODSと思われる。ROBERTの音色は美しく艶があり、WOODSのそれは野性的で逞しい。

A"KIN TAMA" 洒落なのか、偶然なのか分からないが、何故か不思議なタイトルがついている。演奏はアルトサックス・バトルとも言うべきアップテンポのホットな演奏だ。ROBERT→WOODS→BARRON→8小節交換→4小節交換→テーマに戻る。
凄まじい熱気に満ちた演奏で、熱い熱い!
B"BLUES FOR C.T." タイトルにBLUESとあるが、実は12小節ではなく16小節になっている。WOODS→BARRON→ROBERT→REIDと進む。BARRONのバッキングに耳を傾けるのも一興だ。

C"I'M CONFESSIN'" サポート陣だけのトリオ演奏。BARRONのお得意のナンバー。同じベースのRUFUS REIDを配した"THE MOMENT"(JAZZ批評 26.)でも演奏されている。ROBERTもライナーノーツの中でも書いているように、このアルバムのハイライトとも言えるご機嫌な演奏だ。このKENNY BARRONというピアニストはソロをとって良し、脇役に回って良しで、今やジャズ界屈指のピアニストになった。歌心溢れる演奏をたっぷりと堪能いただきたい。貴方を幸せにすること間違いなし。

D"SOUL EYES" 前述"PEACE"でも泣かせまくった曲。ROBERTによるカルテットの演奏。こんな演奏を捧げられたROBERTの奥さんと家族は幸せものだ。
E"CANNONIZATION" タイトルからも分かるようにCANNONBALL ADDERLEYに捧げたROBERTのオリジナル。アドリブはROBERT→WOODS("WORK SONG"の出だしで始まる)→BARRON→REIDと進む。最後を飾るに相応しい熱気に満ちた演奏。

ライブということでベースの増幅が大きくて締りがないが、リズム陣のステディで熱気溢れる演奏がそれを補って余りある。
熱気と高揚感溢れるライヴ。三食抜いても聴いてみたい。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2004.01.12)



GEORGE ROBERT

独断的JAZZ批評 174.