独断的JAZZ批評 779.

BOBO STENSON
クラッシクのように静謐でシーンとした音楽だ
"INDICUM"
BOBO STENSON(p), ANDERS JORMIN(b), JON FALT(ds)
2011年12月 スタジオ録音 (ECM 2233 279 4575
)

スウェーデンのピアニスト、BOBO STENSONの新譜である。以前紹介した"VERY EARLY"(JAZZ批評 232.)は1986年の録音というからもう26年も前のことだ。その時とベースはANDERS JORMINで変わりがない。26年間変わらずにコンビを組んでいるというのも珍しい。
前回はDIWレーベルだったけど、今回はECMレーベルだ。ECMというとモノクロを基調とした無機質な感じのするジャケットが主流だが、今回のジャケットはオレンジの色使いをしたというのが珍しい。
音作りも、いかにもECMと言えるクールで温度感の低いアルバムとなっている。この辺が好き嫌いの分かれるところだろう。

@"YOUR STORY" B. EVANSの書いたリリカルなオープニングという感じでわずか3分弱で終わる。
A"INDIKON" 
3人の共作とある。多分、インプロビゼーションなのだろう。ピアノが牧歌的な旋律を奏で、全体がその雰囲気に包まれていく。KIETHのトリオを彷彿とさせる演奏だ。ベースのJORMINもまるでGARY PEACOCKのようだし、まさにECMサウンドなのだ。
B"INDICUM" 
幻想的なインプロ?倍音を使ったアルコかな?
C
"ERMUTIGUNG" ドイツの詩人でシンガー・ソングライターのWOLF BIERMANNの書いた曲。哀愁を帯びた美しい曲。徐々にテンションが高まっていくそのさまがいいね。録音バランスが良いのでJORMINのベース・ソロが邪魔にならない
。というか・・・良く歌っていていいね。
D"INDIGO" 
これもインプロかな?深いベースの音色が堪らない。ベースのソロの後、ピアノとブラシが合流する。徐々に、泉のごとくリズムが湧き出してくる。
E"DECEMBER" 
JOMINの曲。クールだけど熱い。
F"LA PEREGRINACION" この曲はアルゼンチンの作曲家、ARIEL RAMIREZの書いた美しい曲で、邦題は「巡礼」 前奏が長くて、2分半を過ぎたあたりからテーマに入る。Cといい、この曲といい、美しすぎるテーマがジャズ・ファンのみならずあらゆる音楽ファンの心をも虜にするだろう。
G"EVENT Y" 
H"AVE MARIA" 
ノルウェイのトラディショナルとある。いかにもヨーロッパ的サウンドで、ヨーロピアン・テイストのファンには堪らないだろう。
I"TIT ER JEG GLAD" 
デンマークのクラシックの作曲家カール・ニールセンの曲かな?
J"SOL" 
クラシカルな匂いがプンプンするJORMINの曲。徐々にイン・テンポになっていき、3拍子を刻む。
K"UBI CARITAS"
 OLA GJEILOの曲で、この人もノルウェイのクラッシクの世界の人らしいが、今はアメリカを活動の場としているらしい。ウーン、ジャズというよりはクラッシクの世界に近いかもしれない。

極端な言い方をすると、ジャズらしく熱く躍動する演奏は皆無だ。クラッシクのように静謐でシーンとした音楽だ。ECMと北欧の音楽が結びつくとよりクラシカルな方向に振れてしまうのだろう。クールというよりもさらに静謐な感じ。荘厳な響きもあるかもしれない。クラッシク好きな方にはより近しい感じがするのではないだろうか?
逆に、ジャズ好きには
CとかFがこのアルバムの胆かな?   (2012.11.15)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=W5CNHN6s0Hs



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