KASPER VILLAUME
北欧発のアグレッシブで男臭さのある硬派のジャズ
胸のすく1枚でもある
"117 DITMAS AVENUE"
KASPER VILLAUME(p), JESPER BODILSEN(b), JEFF TAIN WATTS(ds)
2004年6月 スタジオ録音 (STUNT RECORDS STUCD 04122) 

インターネット・ショッピングで購入したこのCDが到着したときは、このジャケットからジャズ・ピアノの音楽が流れ出ようとは思いもよらなかった。ジャケットはまるで「ウェスタン」ではないか!・・・と思っていたのだが、よくよくジャケットを調べていくと、どうやら、ここがタイトルにある"117 DITMASU AVENUE"ということらしい。即ち、レコーディングのスタジオらしいのだ。
メンバーには、かのJESPER BODILSEN(JAZZ批評 210.237. 僕が2004年のBEST・ALBUMとして選んだアルバムでもある)が参加している。ドラムスはJEFF TAIN WATTSだ。
肝心要のピアノはというと初めて聞く名前だ。
果たして、このジャケットから流れ出る音楽は吉か凶か?
 
@"PLEASE ENTER-TAIN" 半分期待交じりにCDをトレイに落としてみた。4小節聴くと硬派のジャズだということが分かる。ピアノと同時にベースが4ビートを刻み、ドラムスが跳躍する。そういうジャズだ。北欧らしからぬハードドライブの躍動感に「!」
A"DANSEVISE" ピアノの音色が硬質でタッチも強い。ベースもドラムスも硬質でガッツあり。なかなか良いピアノ・トリオだ。ベースのBODILSENはかつてヨーロッパ・ベーシストの代名詞とも言われたNIELS-HENNING ORSTED PEDERSENに師事したという。力強いベースワークとベースの役割をわきまえたサポートぶりに好感が持てる。

B"SEVEN STEPS TO HEAVEN" 更にハードタッチ。低音部から高音部までバランスよくピアノを弾いている。怒涛の如くのアップ・テンポが快い。WATTSのドラミングもこのグループに相応しい。まさに3者のコラボレーション。
C"AUTUMN NOCTURNE" 一転してバラード。虚飾を排した深みのある演奏。
D"CONCEPTION" 
E"TOYS" グルーヴィな演奏。

F"CARAVAN" やはり、一番はこの曲でしょう!ベースのソロでスタートし、ドラムス〜ピアノの順に加わりサビの部分では強烈な4ビートを刻む。ベースのドライブ感が凄い。以前紹介したアルバムではJAZZ批評 144.でAKIKO GRACEとLARRY GRENADIERとBILL STEWARTのトリオがドライブ感満載の演奏をしていたが、それに負けず劣らずのドライブ感を披露している。
G"I FALL IN LOVE TOO EASILY" これがまた良い!名曲をジックリと聴き込んで欲しい。硬派のバラードでもある。
H"LONG AGO AND FAR AWAY" 全編を通して、ドラムスのWATTSも良い仕事をしている。アグレッシブで良く歌っており、このトリオでのキーパーソンかも知れぬ。

北欧発のアグレッシブで男臭さのある硬派のジャズ。
胸のすく1枚でもある。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2005.01.13)



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独断的JAZZ批評 243.