JACOB KARLZON
テーマのアレンジがいずれも懲りすぎ
ストレートなダイナミズムに欠ける
"TODAY"
JACOB KARLZON(p), MATTIAS SVENSSON(b), PETER DANEMO(ds)
2001年10月 スタジオ録音 (PROPHONE PCD 059)
 

このCDは中古を購入した。基本的には新譜を試聴してから購入するというのが僕のスタイルだが、試聴できなくて心にひっかかっているアルバムとかタイミングが悪くて購入できなかったアルバム等を運良くゲットできればいいなと思っている。新譜の半額以下ということを考えれば、あまり、躊躇しないで購入することも出来る。
ところで、最近思うのだが、名盤と言われるCDが復刻盤とか決定盤とか言って発売されているのをよく目にする。価格も安くて1500円内外だ。初めてジャズに接する人はきっとこういう名盤と言われるアルバムを最初に耳にするに違いない。僕もそうだった。名盤でジャズに入れ込んだ人が、新たに2500円〜2800円する国内盤の新譜を購入した時、それがいいアルバムであれば問題ないが、不幸にして詰まらないアルバムだったらどういう想いを持つのだろうか?安直なCD制作や売れればいいというアルバム作りの実態を知った時、ジャズから去っていってしまうのではないかと危惧するのだが・・・。

復刻の名盤と最新録音の新譜の価格差というのもこれでいいのだろうか?確かに昔の財産をしゃぶり尽くすというのは良くわかる。だから、安い価格設定が出来るのだろう。一方で、最新録音盤の価格は適正と言えるのだろうか?今のままではいずれネット配信に駆逐されてしまうように思うのだが・・・。
僕の尺度で言えば、4つ★以上のCDは「元は採れた」と思うし、5つ★に至っては「数倍の価値がある」と思っている。事実、5つ星をゲットした時は満足という空気に覆い尽くされて幸せな気分に浸れるものだ。そういう意味でも、レコード会社のすべきことはジャケットにヌードまがいを使ったり、「昔の名前で出ています」的な安直なCDを制作することではないと思うのだ。いい音楽を作ること、いいジャズを聴かせる事こそ最大にして唯一の使命であり、生き残るための最短の近道ではないだろうか?

翻って、このアルバムであるが、中古盤というのはなかなか当てる(!)のが難しいと感じている。世に流通する中古盤というのは基本的にその人が所蔵をあきらめたアルバムだろうから、素晴らしいアルバムが何枚も右から左に流通するとは思えない。僕自身を振り返ってみてもそうだ。僕はCDコレクターではないので、所蔵に値しないCDは買取に出すことにしている。その場合は評点が3.5以下と(今のところ)決めている。4.5★以上は恐らく永遠に所蔵しているだろう。以前に5つ★を献上したBILL MAYSの中古アルバム(JAZZ批評 259.)にめぐり合えたのは本当に運が良かったと思っている。確かに、5つ★にめぐり合えると、「してやったり!」と嵌ってしまいそうな満足感を覚えるものだ。それ故、マニアになると中古盤漁りが止まらなくなるのであろうか?

@"NARDIS" 
A"YESTERDAYS" 定型化したピアノのパターンが耳に付く。
B"BUBBLES" 
C"IF I SHOULD LOSE YOU" 
D"BYE, BYE BLACKBIRD" ちまちまとしたベースの弾き方が快くない。
E"INTRODUCTION TO A HYMN" 
F"SORGEN OCH GLADJEN" 
G"IN YOUR OWN SWEET WAY" 
H"'ROUND MIDNIGHT" 懲りすぎ!
I"GOODBYE" 

演奏されている曲は名曲と言われるスタンダード・ナンバーがズラリ。それ故に、素直には弾けなかったか?テーマのアレンジがいずれも懲りすぎ。ストレートなダイナミズムに欠ける。じりじりさせて、なかなかスカッとさせてくれない。もどかしさの残るアルバムだ。   (2005.06.22)



独断的JAZZ批評 276.