独断的JAZZ批評 593.

NAJPONK
"NIGHT LIGHTS"
NAJPONK(p), GEORGE MRAZ(b), MARTIN SULC(ds)
2009年4月 スタジオ録音 (CZECH ART : CA0002-2 531)

NAJPONK(正式名はJAN KNOP。ジャズの世界ではよくある逆さ読み)のアルバムは今までに2枚紹介しているが、2002年録音の"AUTUMN IN NEW YORK"(JAZZ批評 236.)は地味ではあるが、じんわりと心に沁みてくる良いアルバムだった。特に、JOHN LENNONが書いた"IF I FEEL"やオリジナルの"NINE ELEVEN 2001"、スタンダードの"AUTUMN IN NEW YORK"などは心に沁みるトラックだった。併せて、是非聴いてもらいたいアルバムのひとつで、NAJPONKの個性がキラリと光った。
このNAJPONKというピアニストはチェコの出身で、1972年生まれ。今年37歳と脂ののった年齢だ。今回はチェコの大物ベーシスト、GEORGE MRAZ(1944年生まれ、今年65歳!もう、こんな歳になっているだあ!)とMARTIN SULC(1961年生まれ、今年48歳)を迎えてのトリオ。スタンダード中心に、ブルースが4曲ほど挿入されている。GERRY MULLIGANの"NIGHT LIGHTS"のジャケット・デザインの雰囲気を真似ているところなんぞはチャッカリしている。


@"HAMP'S BLUES"
 HAMPTON HAWESの書いたブルース。ミディアム・テンポで刻む4ビートが心地よい。
A"BLUE MONK" 今度はTHELONIOUS MONKの書いたブルース。
B"DAYDREAM" 
C"MOON & SAND" ボサノバ調で軽く。
D"I'M THROUGH WITH LOVE" しっとり系のバラード。
E"THERE IS NO GREATER LOVE" 心地よい4ビートを刻むスタンダード。
F"DREAM FOR TWO" この曲は先に書いた"AUTUMN IN NEW YORK"にも入っているNAJPONKのオリジナルで、美しくも透き通ったピアノのソロで終わる。
G"LUGGAGE ROOM LITTLE BLUES" ベースの泥臭いイントロで始まる8ビートのブルース。机を叩く、膝を叩く、茶碗を鳴らす・・・一緒にビートを刻んでみよう。
H"NIGHT LIGHTS" MRAZのベースがテーマを執る。流石にMRAZのベースには揺るぎがない。磐石のベースだ。オリジナルのGERRY MULLIGANの"NIGHT LIGHTS"(JAZZ批評 501.)も是非、聴いてほしいアルバムだ。
I"TORCHIN' " ブルース・フィーリングたっぷりの曲だが、16小節。2コーラスのベース・ソロを経てテーマに戻る。
J"SMILE" チャップリンの書いた佳曲。僕の好きな曲のひとつ。いい曲だなあ!
K"BLUES FOR GEORGE" ブルースの中のブルースという感じ。

GEORGE MRAZは世界が認めるジャズ・ベーシストだと思う。DON FRIEDMANの"LATER CIRCLE"(JAZZ批評 550.)やTOMMY FLANAGANの"ECLYPSO"(JAZZ批評 90.)などもMRAZの参加なくして、これほどの評価を受けることのなかったアルバムだと思う。こういうアルバムを数え上げればきりがないほどMRAZの存在は大きかった。
若手ピアニスト・NAJPONKにとって、ベースの大御所・MRAZの参加は少々荷が重かったか?気になるのが、アルバム全体の雰囲気がNAJPONK色というよりはMRAZ色になっていることだ。ベース・ソロの多さを見ても、配慮しているということが良く分かる。これだけのベテランを招くと独自色は貫き難いか?そういう意味では、先に紹介した"AUTUMN IN NEW YORK"(JAZZ批評 236.)の方がNAJPONKカラーに染まっていて個性的であった。
そうは言っても、このアルバムは1級のバップ・アルバムであることは間違いない。   (2009.12.02)

試聴サイト : http://diskunion.net/jazz/ct/detail/CA00022531