やはりJAZZの原点はブルースにあり!
このブルース・フィーリングを語ることなくしてJAZZを語れない
"SHAKEN NOT STIRRED"
JURAJ STANIK(p), MARIUS BEETS(b), OWEN HART JR.(ds)
2003年4月 スタジオ録音 (MAXANTER RECORDS CD MAX 75178)

前回に続き今度はオーストラリア発のピアノ・トリオと行きたいところだったが、よくよく聴いていみるとヴォーカルが3曲に入っていた。BRENDAN CLARKEというベーシストの"STAY RIGHT WITH IT"というリーダー・アルバムだが、これは僕の評価の対象外と言うことでパス。

そこで、以前から探していたのだけどなかなか手に入らなかったアルバムを「ディスクノート」のネットショッピングで手に入れることが出来たので、それを紹介しよう。
1枚だけの購入だと、送料と代引き手数料で結構高いものについた。1万円以上のまとめ買いをすれば送料がサービスとなるので、その方が安上がりだ。クレジット・カードでの引き落としが出来るようになればもっと便利だが・・・・。

さて、このアルバム。ヨーロッパを象徴するような絵柄だが印象に残るジャケット・デザインだ。中身もヨーロッパ的な叙情的ピアノ・トリオかというとさにあらず。ヨーロッパ的リリシズムとは無縁のゴリゴリした演奏で味がある。

@"B-BRITE BOOGALOO" 8ビートで始まるハードでノリの良い曲。
A"A ROOM WITH NO VIEW" 
B"GREY SKIES" バラード。
C"I WONDER" ボサノバ調。・・・・と、ここまではほんのイントロに過ぎない。

D"OOPSY DAISY" このアルバムは、実はここからが良い。強烈なテーマで始まるこの曲でプレイヤー自身も目が覚めたか?これまでの4曲と全然ノリが違う。甘さを排したファンキーなテーマだが、アドリブになるとシンバルとベースが4ビートを刻み、シングル・トーン主体のピアノが踊る。ここからこのトリオの真骨頂が始まる。
E"SUNSONG" ベースが最初は2ビートを刻んでいるが、後に図太い4-ビートを刻み出す。どちらかと言えば流麗とは言えないゴツゴツした無骨タイプのピアノが跳躍する。このピアノ、味がある。

F"BUT NOT FOR ME" 数多くのミュージシャンが取り上げるスタンダード・ナンバー。この演奏もGOOD!特にアドリブに入ってからのドライブ感が最高!3者のバランスも良くご機嫌な演奏を披露する。因みに、スタンダード・ナンバーはこの曲だけ。残る9曲は全てJURAJのオリジナル。
G"FOR THOSE WHO KNOW" 美しいスロー・バラード。センシティブなブラッシュ・ワークも聴き応えあり。

H"BLUES" ミディアム・スローのこのブルースがメランコリックでまた良いだなあ。RAY BRYANTばりの演奏でブルース・フィーリングがこぼれんばかりだ。指でも鳴らせば更にノリが良くなるというものだ。やはりJAZZの原点はブルースにあり!このブルース・フィーリングを語ることなくしてJAZZを語れない。
I"SHAKEN NOT STIRRED" 

このピアニスト「流麗」とか「叙情的」とかの修飾語とはほとんど関係がない。むしろ、無骨と言った方が似つかわしい。でも、味があるんだなあ。Hにおけるブルース・フィーリングは特筆ものだ。ヨーロッパのピアニストとしては珍しいタイプだろう。ベース、ドラムスとのコンビネーションも良くて充分楽しませてくれる。後半の5曲だけでも十分に、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加するだけの価値がある。    (2003.12.22)



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JURAJ STANIK

独断的JAZZ批評 170.