NAJ PONK
地味である
しかし、時間をかけてジックリと聴き込んでもらうとその良さがほんのりと分かってくるアルバムだ
"AUTUMN IN NEW YORK"
NAJ PONK(p), PETR "MR PD" DVORSKY(b), MARTIN SULC(ds)
2002年8月 スタジオ録音 (CUBE CZECH REPUBLIC) 

このピアノ・トリオ、チェコスロバキア(PRAGUE・プラハ)での録音だ。チェコといえばJAZZ批評 126.を思い出す。あのアルバムはピアノ以外はチェコ人だった。因みにピアノはメキシコ人という面白い組み合わせで、演奏も想像を超えた素晴らしさだった。
今回のこのアルバムもなかなかセンスの良いトリオでヨーロッパの気品とアメリカのブルージーな雰囲気を併せ持っている。真面目なCD制作と相俟って良質のアルバムとなった。ジックリと時間をかけて聴き込んで欲しいアルバムだ。

@"MR BEATIFUL" この曲を最初に聴いたときに想起したのがJAZZ批評 167.の1曲目"IT'S YOU OR NO ONE"だ。軽快な躍動感に満ちてサビの4ビートが快い。
A"BACK AT THE CHIKEN SHACK" 実に!ブルースなのだ。ウ〜ン、アメリカのプレイヤーが忘れかけているブルースなのだ。JAZZ批評 170.の"BLUES"のJURAJ STANIKにも通じるブルース・フィーリングをたっぷりとどうぞ!
B"IF I FEEL " 彼のJOHN LENNONが書いたシンプルにして心に染み入る佳曲。数少ない音で切々と訴えかけるピアノに説得力がある。音楽は音符が沢山並べば良いというものではないということを証明してみせた。ジックリと聴き込んでもらいたい。

C"DREAMING" この曲とD、E、JがNAJ PONKのオリジナル。
D"DREAM FOR TWO" 
E"NINE ELEVEN 2001" タイトルからしてアメリカの同時多発テロへの鎮魂の曲と思われる。鎮魂歌の如く静かなイントロで始まるが、メインテーマになるとブルージーな曲想へと転換する。まるで現実のニューヨークに引き戻されたように。小憎らしいアレンジだ。ウ〜ン、いいね。

F"HARLEM WALTZ" 一転して陽気なワルツ。口笛でも一緒に吹いてもらえば最高だ。
G"AUTUMN IN NEW YORK" スタンダード・ナンバーをしっとりと歌った。アドリブに入ると小気味良いブラッシュ・ワークに乗って軽快にスウィング。
H"GIRL OF MY DREAMS" 陽気なテーマに乗ってスウィング。
I"IN THE GROOVE" と思ったら、今度はファンキータッチ。
J"I'LL REMEMBER 21ST MAY" 哀愁を帯びたマイナー調。

このアルバムはいつもお世話になっている仙台のDISKNOTEの店長のお奨めで購入した。非常に真面目に作られたアルバムだと思う。最近、スタンダード・ナンバーばかりを並べて売りをとる安易なCD制作が散見される中、実に好感が持てる。
このアルバム、大向こうを唸らせるようなものやリスナーに媚びたものは何もない。地味である。しかし、時間をかけてジックリと聴き込んでもらうとその良さがほんのりと分かってくるアルバムだ。特にBやEは心に染み入る音楽で、ジックリと聴き込んでもらいたい。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2004.12.23)



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独断的JAZZ批評 236.