FRED HERSCH
こういうアルバムは、いきなり「わーっ!」とは来ない
何ヵ月後にまた引っ張り出して聴いてみたくなる、そういうアルバムだ
"IN AMSTERDAM : LIVE AT THE BIMHUIS"
FRED HERSCH(p)
2003年7月 ライヴ録音 (SOUNDHILL FSCD 2034)
ピアノの詩人と呼ばれるFRED HERSCHのアムステルダムでのソロ・ライヴ
美しくも繊細で陰影に富んだアルバム
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昨晩、新宿のDISK UNIONに行って、何枚かのCDを「買取り」に出した。僕の「買取り」か「保有」かの判断基準は星3.5。それ以下は「買取り」、星4つ以上は「保有」と決めている。そういう意味では、星4つ以上が僕の合格点。今回は最近聴いた中から以下の4枚を出した。
1.JACK VAN POLL "IN MUNICH"(JAZZ批評 344.)
2.RONNY JOHANSSON "LIVE IN TOKYO" (JAZZ批評 348.)
3.SERGEY MANOUKYAN "THE FEATHER 2" (JAZZ批評 350.)
4.BRAD MEHLDAU "HOUSE ON HILL" (JAZZ批評 351.)
いずれも出たばかりの新譜だが、大好きなBRAD MEHLDAUとてその例外ではない。今後、恐らく聴くことがないと思われるCDを後生大事に取っておく趣味はないし、CDコレクターでもないので聴かないCDは「買取り」と決めている。リサイクルで気に入った方に保有してもらった方がCDも本望だろう。この買取価格が4枚で3900円だった!今までにない高価格の買取だった。もっとも、それなりの苦労はあって、最初に聴いた時点で3.5星以下と推測できるCDは保有盤以上に取り扱いを丁寧にする。最近、何回かこういう作業を繰り返して分かってきたことだが、そのポイントは
@新譜には売り時というのがあって、このタイミングを逃さないこと。例えば、高価買取リストに載った時。需要と供給のバランスが価格に反映するのは市場原理で当然といえば当然である。
A傷は駄目。CD盤もケースも極力、傷はつけないこと。傷つきは査定がグッと下がることを覚悟すべし。聞き古したCDでは査定価格50円というのも実際にあった。でも1週間も聴いていると必ず傷はついてしまうので、パソコンや携帯オーディオにコピーすることもひとつの方法だ。
BCDに付いている宣伝の帯なども捨ててはいけない。そっくりそのまま残しておくこと。勿論、ライナーノーツに皺なども付けてはいけない。
この辺は高く売るための最低条件と言えるかも知れない。余談が過ぎたようだが、何かの参考になれば・・・。
本題に移ろう。
@"A LARK" HERSCHのオリジナル。低音部から高音部まで鍵盤を縦横無尽に行き交う。美しさと力強さが交錯する陰影の深い演奏。
A"THE NEARNESS OF YOU" 美しいスタンダード・ナンバーを何の衒いもなく淡々と弾いていく。そのナチュラルさ加減が良い。
B"EVIDENCE" ちょっとイメージのかけ離れたT.MONKの曲。
C"AT THE CLOSE OF THE DAY"
D"O GRANDE AMOR" A.C.JPBINの曲。
E"THE PEACOCKS" JIMMIE ROWLESの書いた物悲しいバラード。なんと切ない演奏なのか。
F"DON'T BLAME ME"
G"VALENTINE" この演奏こそHERSCHの真髄とも言えるものだ。HERSCHのオリジナル。美しいテーマ、肩肘張らないナチュラルな演奏。ともすると、物足りないと思う方もいるかもしれない。でも、この奇を衒うわけでもなく、大上段に振りかぶるわけでもなく、ごく自然な感情表現が良い。何回も繰り返して聴きたくなる。心にしっとりと沁みる繊細な演奏だ。
FRED HERSCHのアルバムは今までに2枚ほど(JAZZ批評 127. & 317.)紹介している。いずれもピアノ・トリオであったが、今回はピアノ・ソロ。こういうアルバムは、いきなり「わーっ!」とは来ない。しみじみとジンワリとその良さが分かってくる。何ヵ月後にまた引っ張り出して聴いてみたくなる、そういうアルバムだ。いずれの曲も5分以上で8分以上の長尺ものが5曲ほどある。 (2006.07.30)