独断的JAZZ批評 350.




SERGEY MANOUKYAN
フェザーの如き軽さである
"THE FEATHER 2"
VALERIY GROHOVSKY(p), ANTON REVNIOUK(b), SERGEY MANOUKYAN(ds)
2003年2月 スタジオ録音 (SOLYD RECORDS GPTS026)

ロシアのドラマー、SERGEY MANOUKYANが率いるピアノ・トリオ
タイトルが「如何にも!」という感じだが、果たして?
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結論から先に言おう。これはまさに「如何にも!」である。フェザーの如き軽さである。「軟弱路線、極まれり」である。作る方も作る方だが、演る方も演る方だ。そうはいっても、買った本人が悪いのだから仕方がないが・・・。

「ロシア産のピアノ・トリオの第2弾」との文言に惹かれて買ってみたのだが、これは謂わば「イージーリスニング・ジャズ」だ。別に、それが悪いわけではないが、僕の好みではない。1度聴くと、飽きる。とても1週間なんて聴いていられない。レストランやホテルのラウンジのBGMとしてはいいかもしれない。皆が穏やかな気持ちになれるかも。
スタンダードばかりを集めたことが悪いわけではない。演奏に1本、筋が通っていれば良いのだが、それがない。躍動感や緊密感も足りない。プレイヤーも「本気」にはなれないのだろう。
ピアノの右手は常に耳当たりの良い中高音部ばかりを弾いているし、ドラムスはほとんどブラッシュしか使わないので、どの曲も皆同じように聴こえる。アッタク感もない。もっとも、「ガッツ」なんて最初から期待してはいけないのかもしれない。
しかし、最近は全曲スタンダードといったアルバムが多い。先に紹介したJACK VAN POLLのアルバム"IN MUNICH"(JAZZ批評 344.)もそうだったが、何ゆえ、こんなにスタンダードがもてはやされるのか?何ゆえ、プロデューサーはスタンダード・オンパレードのアルバムを作りたがるのか?確かに、スタンダードは長い時間をかけて人々の心を捉えてきた曲であるから、名曲ともいえるだろう。
このアルバムに収録している@、C、D、E、I等は最近、頻繁に耳にするチューンだ。しかし、ひとつのアルバムを作るのにスタンダードのオンパレードで、ミュージシャンが演りたいと思うオリジナルがないというも寂しい限りだ。ここは演奏する側にもジャズ・ミュージシャンとしての矜持を示してもらいたいものだ。


@"MY FUNNY VALENTINE" 
A"'TILL THERE WAS YOU" 
B"IT WAS JUST ONE OF THOSE THINGS" 
C"STELLA BY STARLIGHT" 
D"BEAUTIFUL LOVE" 
E"I LOVES YOU PORGY" 
F"LIVING A LIE" 
G"HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON" 
H"THE MAN I LOVE" 
I"MY ONE AND ONLY LOVE" 

ウ〜ン、次回はこのアルバムとは正反対の全てオリジナルというアルバムを紹介しよう。   (2006.07.01)