JACK VAN POLL
スタンダード・ナンバーのオンパレードで、演奏もオールドファッション・スタイルで何の新鮮味もない
"IN MUNICH"
JACK VAN POLL(p), THOMAS STABENOW(b), KLAUS WEISS(ds)
2005年11月 スタジオ録音 (ATELIER SAWANO AS 057)
録音時、71歳のオランダのベテラン・ピアニスト、JACK VAN POLLの久々のアルバム
サイドメンにTHOMAS STABENOW(b)と KLAUS WEISS(ds)を起用
この二人、JOERG REITERの1985年の名盤"SIMPLE MOOD"(JAZZ批評 66.)につき合っている
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JACK VAN POLLのアルバムというと、1986年録音の"TREE-OH IN ONE"(JAZZ批評 191.)を既に紹介した。ベースにHEYN VAN DE GEYNを迎え、ジャズの楽しさを満喫させてくれるアルバムだった。今回のコンセプトも恐らくその延長線上なのだろう。
サイドメンにはドイツのSTABENOUWとWEISSが参加している。このサイドメン、前述の"SIMPLE
MOOD"(JAZZ批評 66.)では良い働きをしていた。その二人を迎えた71歳のVAN POLLの元気溌剌な演奏なのだ。
しかし、これはどうだろうか?澤野工房がここまでやるか!という感じなのだ。全曲、聞き古されたスタンダード。「愛の賛歌」や「ユー・アー・マイ・サンシャイン」まで入っている。現代版OSCAR
PETERSONのノリなのだ。
@"I WILL WAIT FOR YOU" 邦題「シェルブールの雨傘」。
A"ST. THOMAS" S. ROLLINSの作った名曲
B"THE DRAGON" 哀愁を帯びた美しい曲。
C"DON'T GET AROUND MUCH ANYMORE"
D"CARAVAN"
E"THE NEARNESS OF YOU"
F"ALL OF ME"
G"I THOUGHT ABOUT YOU"
H"HYMNE A L'AMOUR" 邦題「愛の賛歌」。
I"YOU ARE MY SUNSHINE"
J"JOHN BROWN'S BODY" どこかの大型カメラ量販店のテーマソングの曲。そう、「真ん中走るは中央線」というヤツ!
K"SMILE" C. CHAPLINの名曲。
まあ、楽しいといえば楽しいのだけど、突込み(深み)が足りないんだなあ。実に、軽いノリなのだ。尤も、この手のジャズに深みは必要なくて、軽いことこそ必要なのかも知れないが。
何を血迷ったか、澤野工房らしからぬアルバムと言えないこともない。1週間、続けて聴くことは耐えがたい。兎に角、飽きる。2〜3回聴けば、もう沢山という気になってしまう。スタンダード・ナンバーのオンパレードで、演奏もオールドファッション・スタイルで何の新鮮味もない。敢えて、これだけのメンバーを集めて演るほどの音楽でもない。
四の五の言わずに、とりあえず、楽しければいいという人、1回聴いて満足すればそれで良いという人にお奨め。ヨーロッパ版エンターテイメントかもしれないが、大枚ハタク価値はない。聴けば聴くほど評価が落ちてくる。聴き始めの日曜日の印象は★4つ半だったけど、水曜日には★3つ。ここいらで止めておいた方が良さそうだ。
お耳直しなるかどうか分からないが、今回のヨーロッパ版に対して、次回はアメリカ版ハード・バップ・エンターテイメントを紹介しよう。 (2006.06.08)