独断的JAZZ批評 344.



JACK VAN POLL
スタンダード・ナンバーのオンパレードで、演奏もオールドファッション・スタイルで何の新鮮味もない
"IN MUNICH"
JACK VAN POLL(p), THOMAS STABENOW(b), KLAUS WEISS(ds)
2005年11月 スタジオ録音 (ATELIER SAWANO AS 057)

録音時、71歳のオランダのベテラン・ピアニスト、JACK VAN POLLの久々のアルバム
サイドメンにTHOMAS STABENOW(b)と KLAUS WEISS(ds)を起用
この二人、JOERG REITERの1985年の名盤"SIMPLE MOOD"(JAZZ批評 66.)につき合っている
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JACK VAN POLLのアルバムというと、1986年録音の"TREE-OH IN ONE"(JAZZ批評 191.)を既に紹介した。ベースにHEYN VAN DE GEYNを迎え、ジャズの楽しさを満喫させてくれるアルバムだった。今回のコンセプトも恐らくその延長線上なのだろう。
サイドメンにはドイツのSTABENOUWとWEISSが参加している。このサイドメン、前述の"SIMPLE MOOD"(JAZZ批評 66.)では良い働きをしていた。その二人を迎えた71歳のVAN POLLの元気溌剌な演奏なのだ。
しかし、これはどうだろうか?澤野工房がここまでやるか!という感じなのだ。全曲、聞き古されたスタンダード。「愛の賛歌」や「ユー・アー・マイ・サンシャイン」まで入っている。現代版OSCAR PETERSONのノリなのだ。


@"I WILL WAIT FOR YOU" 
邦題「シェルブールの雨傘」。
A"ST. THOMAS" 
S. ROLLINSの作った名曲
B"THE DRAGON" 
哀愁を帯びた美しい曲。
C"DON'T GET AROUND MUCH ANYMORE" 
D"CARAVAN" 
E"THE NEARNESS OF YOU" 
F"ALL OF ME" 
G"I THOUGHT ABOUT YOU" 
H"HYMNE A L'AMOUR" 
邦題「愛の賛歌」。
I"YOU ARE MY SUNSHINE" 
J"JOHN BROWN'S BODY" 
どこかの大型カメラ量販店のテーマソングの曲。そう、「真ん中走るは中央線」というヤツ!
K"SMILE" 
C. CHAPLINの名曲。

まあ、楽しいといえば楽しいのだけど、突込み(深み)が足りないんだなあ。実に、軽いノリなのだ。尤も、この手のジャズに深みは必要なくて、軽いことこそ必要なのかも知れないが。
何を血迷ったか、澤野工房らしからぬアルバムと言えないこともない。1週間、続けて聴くことは耐えがたい。兎に角、飽きる。2〜3回聴けば、もう沢山という気になってしまう。スタンダード・ナンバーのオンパレードで、演奏もオールドファッション・スタイルで何の新鮮味もない。敢えて、これだけのメンバーを集めて演るほどの音楽でもない。
四の五の言わずに、とりあえず、楽しければいいという人、1回聴いて満足すればそれで良いという人にお奨め。ヨーロッパ版エンターテイメントかもしれないが、大枚ハタク価値はない。聴けば聴くほど評価が落ちてくる。聴き始めの日曜日の印象は★4つ半だったけど、水曜日には★3つ。ここいらで止めておいた方が良さそうだ。
お耳直しなるかどうか分からないが、今回のヨーロッパ版に対して、次回はアメリカ版ハード・バップ・エンターテイメントを紹介しよう。   (2006.06.08)