独断的JAZZ批評 348.




RONNY JOHANSSON
今回のライヴは、謂わば、森の凱旋帰国的なところがあるのだろうか?
ピアノ・トリオというよりはベース・トリオとの印象を強くする
"LIVE IN TOKYO"
RONNY JOHANSSON(p), YASUHITO MORI(b), RAYMOND KARLSSON(ds)
2005年5月 ライヴ録音 (RONNYJO COLLECTION RJCD 06)

かの武蔵野スイングホールでの2005年5月のライヴ
「スカンジナビアン・コネクション」をプロデュースする森泰人がベーシストとして参加
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この武蔵野スイングホールというのは僕のお気に入りコンサート・ホールだ。200名弱の小ホールであるが音響効果もよく、サービスも良い。客層も本当のジャズ好きしか来ないので、皆、熱心に音楽に集中している。勿論、話し声等ないし、適度な掛け声や拍手が入る。そして、何よりもコスト・パフォーマンスが良い。多分、ミュージシャン & リスナー冥利のコンサート・ホールだと思っているのだが、どうだろう?
その会場でライヴ録音された2005年のライヴ。RONNY JOHANSSONというピアニストは初めて聴くが、今も音楽大学の助教授という肩書きでピアノを教えているらしい。ベースの森泰人とは1982年頃から共演していたという。
全10曲中、@BCDFHの6曲がJOHANSSONのオリジナル。

@"MORI'S MOOD" 森のピチカートは充分力強いのだが、録音が適切でないのかモゴモゴする。生の音を大切にする録音なら良かった。充分なビート感と大きな音があるのでここまでアンプに頼る必要はなかったと思う。しかし、そういう悪条件下でも森のベース・ソロは充分グルーヴィである。多分、実際に生で聴くのと録音されたものを聴くとでは大きな違いがあるのではないだろうか?
A"NIGHT AND DAY" 
曲の始めの拍手の音はもう少し控え目にして良かったのでは?テーマの後のアドリブでは、3者の一体感がもうひとつ。
B"A TANGO FOR THE SAINTS" テーマがねえ!

C"SOME LIKE IT COOL" これももって回ったようなテーマ。
D"AT HOME" この曲と@のオリジナルは良い曲だと思う。
E"MY ONE AND ONLY LOVE" ミディアム・ファーストで森のベースがテーマを執ったあと、ソロへと進む。原曲の持つ美しさや切なさは全くなくて、従い、デリカシイもない。ピアノのバッキングがもうちょっとお洒落であれば良かった。
F"INTO SOMEWHERE" 

G"KARY'S TRANCE" LEE KONITZのオリジナルだが、先ず、曲が良い。アドリブの最初はドラムとの噛みあわせがあまり良くないのだが、力強い森のバック・アップに乗って徐々に修正されていく。後に、森のビート感溢れるベース・ソロが堪能できる。ウン、強いビートだ。1曲目より数段良い音になっている。また、KARLSSONのドラム・ソロも力強さが漲っている。全員、ハードな演奏だ。
H"SEE YOU" 
I"WAVE" 凄く強引な感じのイントロで始まる。これはないでしょう。アドリブ入ってからもこれが尾を引いて実に粗い感じ。

今回のライヴは、謂わば、森の凱旋帰国的なところがあるのだろうか?結構、森のソロの時間が長い。ピアノ・トリオというよりはベース・トリオとの印象を強くする。過ぎたるは何とやらである。
僕の率直な感想としてはドラムスがもうひとつかな。他の二人とのコミュニケーションという点で今一歩。ひょっとすると、コンサート会場における録音が今一歩ということも考えられる。全体的にバランスが良いとは言えない。そのせいか、全体的な印象としては少し粗い感じがするのだ。
3人のコミュニケーションももっと一体感や緊密感が感じられると良かった。ヨーロッパのピアニストにしては珍しくデリカシイのないピアニストという印象を持ってしまった。これは武蔵野スイングホールでの録音が上手く行かなかったことに起因しているのかもしれない。客席の拍手の音が少々大きすぎるように感じるのはそれらの結果?   (2006.06.26)