独断的JAZZ批評 355.




TESSAROLLO / TAUFIC
洗練され、爽やかで一点の曇りもないことが、逆に、物足りなさを誘ってしまう
なんと贅沢な言い分だろう!
"STRINGS GAME"
ROBERTO TAUFIC HASBUN (right channel : classical guitar, acoustic guitar, cavaquinho,voice)
LUIGI TESSAROLLO (left channel : classical guitar, arch-top guitar, cavaquinho, voice)
2005年4月 スタジオ録音 (VENUT LUNA CLVD 140)


LUIGI TESSAROLLOがROBERTO TAUFIC HAZBUNと組んだギターのデュオ
それもクラシックギターとアコースティックギターがメイン
cavaquinho(カバキーニョ)という楽器は4弦で、ハワイに渡ってウクレレとなったそうだ
右チャンネルにTAUFIC、左チャンネルにTESSAROLLO
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久しぶりにピアノを離れて、ギター・デュオのアルバムを紹介しよう。ギター・デュオは今までにJIM HALL & PAT METHENY(JAZZ批評 72.)を紹介しているが、それ以来かも知れない。
LUIGI TESSAROLLOというと、僕にとっての最初のアルバムがSTEFANO BOLLANIとのデュオ・アルバム"HOMAGE TO BILL EVANS AND JIM HALL"(JAZZ批評 326.)になる。このアルバムはBOLLANIとの丁々発止のやり取りが絶妙であると同時に、実に爽やかなアルバムであった。
今度はROBERTO TAUFIC HAZBUNとのギター・デュオ。しかも、使っている楽器がクラッシク・ギターやアコースティック・ギターで木の香りのする優しくて温かみのある音色だ。たまにはグルーヴィでホットな雰囲気も忘れて、爽やかさと温かみのある演奏を聴くのも良いもんだ。

@"LA PICCOLA ALICE" 
絶妙のインタープレイと心温まる音色。二人の演奏に揺るぎがない。
A"SUMMERTIME" 
イントロから躍動してテーマに入る。この曲のギター演奏というと直ぐにJOHN SCOFIELD & PAT METHENY"SUMMERTIME"(JAZZ批評 7.)が思い浮かぶ。こちらはMETHENYのブロック・コードによるリズムをバックにSCOFIELDがジョンスコ節で唸りまくるという超ハードでグルーヴィな演奏であった。これとは対照的な爽やかさに満ちた演奏だ。
B
"REFLEXAO" TAUFICはこの曲Bを含め、CEHJと5曲を提供している。どれも良い曲だ。
C
"JOGO DE CORDAS" 
D"DONNA LEE" 
E"BALLAD PER ADRIANO" "voice"が入る。あくまでも"voice"であって"vocal"ではない。
F"BLUESETTE" 
如何にも陽気なイタリアン。

G"GUANTANAMERA" 
この曲はメキシコ民謡というが、誰でも一度は聞いたことのある曲だと思う。クラッシク・ギターの音色がぴったりと嵌る。いいなあ!癒される。
H
"MAXIXANDO" 
I"CHORO PRO WALTER" 
J"LINHAS E LINS" 
K"UPA NEGUINHO" 

クラッシクギターとアコースティックギターの組み合わせは優しくて温かみのある音色でホンワカと身を包んでくれる。車の中で聴けば渋滞にあってもイライラすることはないだろう。そう、オープンカーで夏の海辺を走ったら、これは最高のBGMになるに違いない。
二人のコミュニケーションは抜群で、非の打ち所がない。敢えて言えば、非の打ち所がないところが欠点か!?洗練され、爽やかで一点の曇りもないことが、逆に、物足りなさを誘ってしまう。なんと贅沢な言い分だろう!クラシック&アコースティック・ギターのファンには絶対のお奨め!   (2006.07.26)