間借り人の映画日誌 -『永遠の０』-

『永遠の０』

監督山崎貴

ヤマのMixi日記 2013年12月27日00:27

こいつは『ゼロ・グラビティ』と違ってタイトルのゼロに大きに意味有りで、
作品として言いたいことの“山崎監督作品らしい真っ当さ”には共感できるものの、
目的は手段の正当化を果たせるものではないので、いくら言い分が真っ当でも
あまりに取って付けたような話の運びと話の中身に、些か興が削がれた。

そもそも６０年前に特攻で散った者の悪口を遺族に言いたくて
あんなに何人もが孫娘に手紙を出すわけないじゃないかと
開始早々から、物語のための物語の拵えように萎えたのだが、
ヤクザか右翼だか知れない景浦（田中泯）が佐伯健太郎（三浦春馬）に
「この刀は本物の血を吸ってるんだ」と言ってたことの顛末はそれかよと
最後の最後まで“拵えもの”ぶりを貫徹した潔さは、さすが山崎貴だとも思った。
だからねぇ～、どうも話に血肉が通わないんだよね、たぶん。
ベテラン俳優陣は総じて熱演していたように思うのだけれど、
作品の随所にそれなりにいいセリフもあるのだけれども、
な～んか違ってるって感じ。

それなのに、２時間越えの長尺を飽かせずに見せるのだから、
そういう点では、大したもんだとも思った。

あ、岡田准一は結構よかったと思う。

2013年12月29日 20:54
（お茶屋さん）
　コテコテのフィクションを大いに楽しみましたが、血ぃ吸った刀の件は、ちょっと笑っちゃいました。
　私はやっぱり新井浩文がよかったな。
　岡田准一もよかったけど、キャラクターは『図書館戦争』のほうが好きです（^o^）。
　『永遠の０』、原作読んだ人は映画は物足りないらしいです。

2013年12月29日 21:38
ヤマ（管理人）
　◎ようこそ、お茶屋さん、

　随分と堪能なさったようで何より何より。
　僕はもう、タクシーの中で吹石一恵が三浦春馬に手紙の束を見せた後の平幹二郎の場面で、なんじゃこりゃ～でしたんで、残念でした（たは）。原作の運びがもっと淡々としているのであれば、いいんですが、なんとなく不安（笑）。

　ブログに書いておいでの「宮部久蔵が特攻に志願したのは、心の健康を損なったことと、家族と教え子の間に優先順位をつけられなかったことが原因だと思う。いい人過ぎるのも考えものだ。」というのは、そのとおりだと僕も思います。

　でも、そんな宮部が何ゆえ太平洋戦争以前から、職業軍人になっていたのか、既に戦争を繰り返していて、少なからぬ戦死者を出していた大日本帝国の軍人になっていたのかが不可解な気がします。太平洋戦争開戦前なら、退役も出来たんじゃないかという気もしますし、根本のとこで人物造形に無理を感じる部分が原作では解消されてるのかなぁ。

　『図書館戦争』の岡田准一は未見なので何ともですが、『東京タワー』の岡田准一は、けっこう似合ってたよなー（笑）。

2014年01月04日 10:37
（お茶屋さん）
　あー、ヤマちゃんと同様に宮部の人物造形について、映画に描かれた以前の宮部についての描き込み不足をおっしゃっている方がおいでました！誰だったかなぁ。

　私は設定（戦わず待避していたとか）やなんかが無理なんじゃないかなぁとか、宮部の妻子は軍人恩給（遺族年金）を充分にはもらえんの？とか（待避してたせい？）とか、景浦の刀が血ぃ吸った訳とかが出来すぎで引っかかるところでした。それ以外はＯＫ～。
　隣に座っていた若い男子がずーっと泣いていたので、それにも感動しました！（^o^）

　『東京タワー』はサービスシーンがあったっけ？くらいしか思えてないですが（^_^；、岡田准一は今年の大河ドラマの主役でしょう？　波が来てますね。
　新井浩文くんも一般に認知されてきたようで私はそっちのほうが嬉しいですが。

2014年01月05日 00:41
ヤマ（管理人）
　恩給については迂闊にも思いが及んでいませんでしたが、確かにヘンですよね。
　通常よりも厚遇だったように思いますし、充分とまで言えなかったとしても、大石（染谷将太）が唖然とするような貧民窟に住まうまでには至らないはずですよね。
　まぁでも、そこんとこ崩しちゃうと、ドラマの大筋が狂ってきてしまいますけどね。
　賢一郎と松乃の馴れ初めに関わってくる部分ですし。

　とはいえ、若い男子が感涙を流し、戦争を憎むようになってくれたら、嬉しいですよね。そういう場面に遭遇したら、映画はともかく、そのことに感動するのは、実に真っ当なことだと思います。よかったねー。

　新井浩文は、イイですよね。
　どの作品で見かけても、アクセントの利いた存在になっているように思います。

参照テクスト：百田尚樹著『大放言』（新潮新書）を読んで
参照テクスト：団鬼六著『往きて還らず』（新潮社）を読んで

推薦テクスト：「超兄貴ざんすさんmixi」より
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1921592098&owner_id=3722815

編集採録 by ヤマ

'13.12.26.　ＴＯＨＯシネマズ８

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