どこを どう 飛んで 行けばいいのか 

呆然と 男は 森を見る

目の下は 男を 寄せ付けぬ 暗い人生(もり)

第一線を 退いた 虚しさに

萎えた 翼を 持て余していた

恋に 背を むけて ただ働いた

武者震い するほど 仕事好き

一声で 動いた みんなが 昔なら

古稀とうに過ぎ 心より 愛おしく

思う 相手が 欲しいと思った

ある日 ふと 降りた 止まり木一つ

居心地の 余りの よさにただ

時わすれ 男はのびのびと 羽ばたいた

梢はまるで しなやかな 女の柳腰(やなぎごし)

時に ピシャッと 鞭打たれたりした

「この俺が 最後に身を寄せた 女だよ

世界に一つ ただ一つ 俺だけの

お前 止まり木 幸せ止まり木」